2022 Fiscal Year Annual Research Report
ポストAR時代の治療戦略構築に向けたアンドロゲン非依存前立腺癌進展機構の解明
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21K19558
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
溝上 敦 金沢大学, 医学系, 教授 (50248580)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
泉 浩二 金沢大学, 附属病院, 講師 (80646787)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | 去勢抵抗性前立腺癌 / 肝転移 / 肝間質細胞 / 間葉上皮移行 |
Outline of Annual Research Achievements |
ARシグナルが増殖に全く関与しないARST耐性前立腺癌(AR signaling-independent prostate cancer: ARIP)細胞が生命予後を規定する時代が到来している。ARIPに特徴的な臨床像である肝転移が、癌細胞の活性化を促す場であると考えている。肝転移微小環境を想定し、ヒト肝間質細胞株Fa2N-4を用いる実験を前年度から引き続いて行った。C4-2BのARノックダウンしたものをFa2N-4のARをノックダウンさせたものと共培養したとき、pSTAT3の活性化の低下と同様に、AKTの活性化も抑制される傾向が観察された。間葉上皮移行に関与する分子として、細胞間のタイトジャンクションに関わるZo-1をはじめ各種マーカーについて、この共培養時におけるC4-2Bでの変化をPCRで調べたが、大きな変化は認められなかった。一方、共培養上清における分泌蛋白においては、C4-2B単独、Fa2N-4単独上清と比較し、ARノックアウト、非ノックアウトいずれでもmidkine、CCL20、CXCL12の分泌が亢進していることが明らかとなった。CXCL12は、当研究室で去勢抵抗性前立腺癌において転移をはじめ癌細胞の活性に重要な因子であることを明らかにしているCXCR4のリガンドである。また、興味深いことに、CD44は血管内皮への接着に関与する重要な癌細胞表面蛋白であるが、当研究室で樹立したタキサン系抗癌剤耐性前立腺癌細胞株DU145においてはCD44の発現が亢進することもわかった。ARIPにおいては肝間質細胞と前立腺癌細胞の相互作用を介して、肝への転移形成から増悪過程においてケモカインが重要な役割を果たしている可能性が示唆された。
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