2021 Fiscal Year Research-status Report
ヒト側頭骨病理標本アーカイブを用いた遺伝性難聴の病態解明に関する研究
Project/Area Number |
21K19560
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
宇佐美 真一 信州大学, 医学部, 特任教授 (10184996)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西尾 信哉 信州大学, 医学部, 特任講師 (70467166)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 遺伝子 / 次世代シークエンス / 難聴 / 標本 |
Outline of Annual Research Achievements |
先天性難聴は新生児1,000人に1人に認められる比較的頻度の高い疾患である。難聴患者の遺伝子解析を行い、原因遺伝子変異を明らかにすることは、原因診断として臨床上有用であるだけでなく、聴覚維持および難聴発症のメカニズムを理解する上でも非常に重要な基盤となっている。しかしながら、内耳は骨に囲まれた組織であり、生検が困難であるため、実際のヒト内耳における病理・病態に関してはほとんど明らかとなっていないのが現状である。本研究は、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)耳鼻咽喉科の石山明教授との共同研究により、同大学の管理する世界最大の側頭骨病理標本アーカイブを活用し、ヒト側頭骨病理標本よりDNAを抽出し、次世代シークエンサー(NGS)を用いた解析を行い、原因遺伝子変異を明らかにすることで、遺伝性難聴の病理・病態を明らかにすることを目的としている。
本年度はUCLAの管理する世界最大の側頭骨病理標本アーカイブから、1) セロイジン包埋ヒト側頭骨病理標本を送付、信州大学で受領した。また、2)セロイジン包埋ヒト側頭骨病理標本からDNA抽出するためのプロトコール開発を進め、エタノール/ジエチルエーテル混和物で1週間程度溶解した後にエタノーエルで複数回洗浄し、QIAGENのDNeasy Blood and Tissue Kitを用いてDNAを抽出するプロトコルを確立した。3)得られたDNAのQCを実施したところ、60塩基から160塩基と高度に断片化が認められた。これは検体ごとにホルマリン固定の時間が大きく異なり、また固定時間が比較的長いためと考えられた。また、4)次世代シークエンサー(NGS)解析用のライブラリの調整を行い、得られたライブラリのQCを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画どおり、UCLAからのサンプルを受領しDNA抽出、QC、NGSライブラリの作成を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は実際にNGS解析を進めるとともに原因遺伝子変異が同定された症例の組織学的検討を進める計画である。
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Causes of Carryover |
消耗品の単価が当初予定よりも安価であったために残額が生じた。次年度以降に次世代シークエンス解析に必要なプラスチック消耗品の購入に充てる予定である。
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