2021 Fiscal Year Research-status Report
神経内分泌前立腺がんのシングルセル解析による病態解明と新規治療戦略の確立
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21K19579
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小坂 威雄 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (30445407)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植田 幸嗣 公益財団法人がん研究会, がんプレシジョン医療研究センター がんオーダーメイド医療開発プロジェクト, プロジェクトリーダー (10509110)
西原 広史 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (50322805)
北野 滋久 公益財団法人がん研究会, 有明病院 がん免疫治療開発部, 部長 (60402682)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | 神経内分泌がん / リキッドバイオプシー / シングルセル解析 / 次世代シーケンサー |
Outline of Annual Research Achievements |
前立腺癌有転移症例においては、ADTが施行され当初は奏効するものの、次第にアンドロゲン非依存性増殖能を獲得しCRPCとなる。CRPCに対する治療薬として新たにアンドロゲン受容体シグナル阻害剤(Androgen Receptor Pathway inhibitor; ARPI)が登場したが、患者の予後が延長しているという恩恵と相反する臨床上の課題が浮き彫りとなった。それは治療誘導型神経内分泌がん(tNEPC) の出現である。腫瘍はがん幹細胞を始め、多様な性質を有する細胞が存在し不均一性(ITH)を有する。 本研究では、NEPC患者の血液循環腫瘍細胞(CTC)のシングルセル解析とPDXモデルの作成、組織切片における空間的遺伝子発現解析による活性化遺伝子の3次元地図情報を統合解析することで、NEPCのITHの理解と、ITHの制御を可能とする標的分子を同定し、新規治療戦略の確立を目的とする。 1.NEPC患者のITH解明のための血液循環腫瘍細胞のシングルセル解析とPDXモデルの作成:新規CTC回収システムを用いて、NEPC患者の進行度や時間軸に沿ってCTCを回収し、CTCシングルセルRNAシークエンス解析を開始し、特定のクラスターを同定した。 2.NEPC患者の空間的遺伝子発現解析システムを統合した多層性ビッグデータ解析:NEPCの手術検体を対象として、最新の空間的遺伝子発現解析システム(Visium 空間的遺伝子発現ソリューション)を用いてITH解析を開始した。本システムはスライドガラス上にポリTのオリゴ配列を並べ、分子バーコードを付与した塩基を使ってRNA解析する画期的な技術である。NEPC検検体切片における全トランスクリプトームを空間的な位置情報を保ったままマッピングすることで、組織切片上で活性化している遺伝子の地図を入手することができる。オミックスデータを統合し多層性ビッグデータとして解析する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1. 新規CTC回収システムを用いて、NEPC患者の進行度や時間軸に沿ってCTCを回収し、CTCシングルセルRNAシークエンス解析を開始した。CTCと手術検体からのPDXモデルも作成を開始し、in vitroでの手術検体からのスフェア作成にも成功し、安定した培養条件をスクリーニングしている。シングルセルRNA解析は単一細胞に含まれる微量mRNAから、定量的なRNAシークエンスを可能にした画期的な研究手法である。シングルセル解析の感度・特異度を高くしたハイスループットの次世代シーケンサーシステムを使用し、ITHの制御を可能とする標的分子を同定する。 2.NEPC患者の空間的遺伝子発現解析システムを統合した多層性ビッグデータ解析 NEPCの手術検体を対象として、最新の空間的遺伝子発現解析システム(Visium 空間的遺伝子発現ソリューション)を用いてITH解析を開始した。本システムはスライドガラス上にポリTのオリゴ配列を並べ、分子バーコードを付与した塩基を使ってRNA解析する画期的な技術である。NEPC検検体切片における全トランスクリプトームを空間的な位置情報を保ったままマッピングすることで、組織切片上で活性化している遺伝子の地図を入手することができる。オミックスデータを統合し多層性ビッグデータとして解析することでNEPCのITHの全体像を理解し、ITHの制御を可能にする標的分子やバイオマーカーを同定し、NEPCに対する革新的新規治療戦略を確立する。 コロナの影響をうけたこともあり、入院や外来通院などの規制により、経時的な検体採取が困難な症例もあったことで、研究の進捗が予定通り進まないこともあったが、落ち着いてきており、本年はさらに研究を進捗させる予定である
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Strategy for Future Research Activity |
コロナの影響を引き続きうけたこともあり、入院や外来通院などの規制により、経時的な検体採取が困難な症例もあったこと、臨床検体の輸送に制限があったことで、研究の進捗が予定通り進まないこともあったが、少しづつ改善してきており、本年はさらに研究を進捗させる。引き続き、NEPC患者のITH解明のための血液循環腫瘍細胞のシングルセル解析を進め、そこから得られる知見からPDXモデルの有用な培養条件をスクリーニングする、 CTCと手術検体からのPDXモデルも作成を開始し、in vitroでの手術検体からのスフェア作成にも成功しており、より効率の高い、安定した培養条件スクリーニングする。 NEPCの手術検体を対象としてVisium 空間的遺伝子発現ソリューションを用いてITHを解析し、NEPC検検体切片における全トランスクリプトームを空間的な位置情報を保ったままマッピングすることで、組織切片上で活性化している遺伝子の地図を入手することができる。オミックスデータを統合し多層性ビッグデータとして解析することでNEPCのITHの全体像を理解し、ITHの制御を可能にする標的分子やバイオマーカーを同定し、NEPCに対する革新的新規治療戦略を確立する。
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Causes of Carryover |
コロナのため、外来、手術の予定が延期になったり、検体の輸送に支障があったため。 次年度は、コロナの環境を見て、研究を加速させる。
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Research Products
(8 results)