2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K19587
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
齋藤 正寛 東北大学, 歯学研究科, 教授 (40215562)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八幡 祥生 東北大学, 大学病院, 講師 (30549944)
田中 志典 東北大学, 大学病院, 講師 (60637958)
祖山 均 東北大学, 工学研究科, 教授 (90211995)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 炎症性腸疾患 / 治療抵抗性根尖性歯周炎 / DDS / キャビテーション / 歯内療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年口腔と全身の関係について多くの因果関係が明らかにされており,循環器疾患,自己免疫疾患,内分泌疾患などの全身疾患により産生が亢進される炎症性サイトカインやリンパの循環を介した炎症性細胞の循環が口腔内炎症の遷延に関与すると指摘されている.特にヒト最大の免疫組織である腸管免疫の破綻により発症する炎症性腸疾患(IBD)は腸のみならず全身の免疫機構の低下を招き,歯科領域においても根尖性歯周炎(AP),歯周炎,粘膜の潰瘍など口腔内炎症性疾患のハイリスクになることが知られている.IBD患者がAPを発症すると持続的な顎骨破壊を起こし既存の標準治療で治癒を期待できない治療抵抗性を獲得することが報告されており,アンメットメディカルニーズとなっている.そこで本研究はIBDマウスモデルにAPを誘発したIBD+APモデルを作製し,これを用いて顎骨破壊増悪化を誘導する病因・病態を明らかにし,薬剤輸送システムを基盤とする顎骨破壊を抑制する新規治療戦略を検討した.IBD+APモデルの顎骨破壊範囲を定量解析した結果,APモデルと比較して明らかに顎骨破壊範囲が拡大しており,網羅的遺伝子解析の結果,炎症関連遺伝子の顕著な増加が観察された.また興味深いことにIBD単独のモデルでは好中球の浸潤が顎骨骨髄から起きており,IBD+APモデルでは根管からの細菌感染でリンパ球の活性化が起こることが判明した.フローサイトメトリー解析の結果より,IBD+APモデルでは病変を含む顎骨内でTh17細胞が明らかに増加したことが判明し,Laser DDS技術を用いてTリンパ球の抑制に有効なタクロリムスを根管経由で顎骨病変内に局所投与したところ,IBD+APにより増悪化される顎骨破壊が改善した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該研究で予定していた治療抵抗性根尖性歯周炎モデルの確立とLaser DDSを実施できた。今回のプロジェクトの最大の難関を乗り越えたたため、順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は以下の研究を実施する。 実験1 遊走T細胞の炎症促進効果のin vitro解析 単離したT細胞が、マクロファージの活性に与える影響を探索する。マクロファージの炎症性サイトカイン産生亢進および細胞遊走活性の上昇に与える影響を調べるため、候補分子を腹腔由来マクロファージ細胞に作用させ、リアルタイムPCRによる炎症性サイトカインの発現の変化と、細胞遊走活性を検証する。 実験2:治療標的遺伝子アンタゴニストの局所応用における治療効果の検証 1)候補治療標的候遺伝子のアンタゴニストを使用し、口腔内炎症の抗炎症効果の検証を行うため、DSS導大腸炎および根尖性歯周炎、辺縁性歯周炎を惹起する。2)アンタゴニストを根管内または歯槽骨に注入した後、パルスレーザーを照射し、キャビテーションを応用した局所応用を行う。3)口腔内炎症に対する局所投与の治療効果の検証のため、マイクロCTによる骨破壊の定量化、FACS解析による炎症細胞浸潤の構成、およびHE染色、免疫組織染色を行う。またパルスレーザーによる局所投与を前提に検証するが、照射条件の設定が困難な場合には、先にアンタゴニストの経口投与による口腔炎症の抑制効果を確定する。
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