2021 Fiscal Year Research-status Report
材料学・分子生物学的アプローチの融合によるバイオターゲティング歯科材料開発の試み
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21K19593
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
今里 聡 大阪大学, 歯学研究科, 教授 (80243244)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北川 晴朗 大阪大学, 歯学研究科, 助教 (50736246)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 歯学 / 歯科材料学 / バイオフィルム / 細胞外DNA / バイオターゲティング |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、まず、eDNA分解酵素(DNase)を担持させる担体として、親水性モノマーであるHEMAと三官能性架橋性モノマーであるTMPTから成るポリマー粒子を作製した。HEMAとTMPTを重量比で90:10の割合で混和し、過酸化ベンゾイルを加えて加熱重合した。得られた各硬化体を粉砕し、平均粒径が約500μmのポリマー(polyHEMA/TMPT)粒子を得た。作製したpolyHEMA/TMPT粒子を滅菌蒸留水に浸漬し、24時間攪拌した後、蒸留水を新しいものに交換して再度24時間攪拌・洗浄した。これを9日間繰り返すことで、粒子に残留した未重合モノマーを除去した。 つづいて、リコンビナントDNaseを精製し、精製後のDNaseに凍結乾燥処理を施した。凍結乾燥処理によるDNaseの変性の有無を検討するため、ポリアクリルアミド電気泳動により凍結乾燥前後のDNaseの分子量を評価したところ、凍結乾燥前後でDNaseの分子量に差が認められないことを確認した。つづいて、凍結乾燥を施したDNaseを50 mMのリン酸二水素カリウムを用いて溶解し、500、100、または10μg/mLのDNase溶液を調製した。各濃度に調製したDNase溶液(30μL)にpolyHEMA/TMPT粒子30 mgを浸漬し、室温下で30分間保管した。得られたDNase担持ポリマー粒子を滅菌蒸留水に24時間浸漬し、粒子からのDNase溶出濃度をMicro BCA Protein assay Kitを使用して測定した。その結果、10μg/mLのDNase溶液を使用して作製したDNase担持polyHEMA/TMPT粒子からもDNaseの溶出が認められ、担持に使用したDNase濃度が高くなるに従って、粒子からのDNase溶出濃度が高くなることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和3年度の研究実施計画に則り、DNase担持ポリマー粒子の作製に成功し、当初想定していた通りの結果が得られた。 以上のことから本研究の進捗は、おおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度に得られた結果に基づいて、DNase担持ポリマー粒子から溶出するDNaseによるバイオフィルム形成抑制効果を検討する。
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Causes of Carryover |
凍結乾燥によりDNaseの長期保管が可能となったことで、当初想定していたよりもDNaseの精製回数およびコストを削減でき、次年度使用額が生じた。 次年度使用額は、上記の研究計画に則り必要性を吟味し、培地や試薬等の購入に使用する。
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