2021 Fiscal Year Research-status Report
p-dentistry確立に向けた歯周病発症予測法の開発
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21K19595
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤原 千春 大阪大学, 歯学研究科, 助教 (00755358)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柏木 陽一郎 大阪大学, 歯学研究科, 助教 (20598396)
村上 伸也 大阪大学, 歯学研究科, 教授 (70239490)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | 歯周病 / 予防 / 遺伝子発現 / ミトコンドリア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、未病段階で超先制的医療介入を施す医療 (pdentistry) の確立に向けた歯周病発症予測法を開発するために、ミトコンドリアの損傷が歯周病の発症直前に起こるとの作業仮説を立証することを目的とする。R3年度は本研究課題解決のために、以下の研究を遂行した。 1) マウス絹糸結紮歯周病モデルを用いて、歯周病進行時におけるミトコンドリア関連遺伝子の発現変化について検討した。すなわち、RNAシークエンス解析の結果より、歯槽骨吸収が顕著となる直前においてミトコンドリア関連遺伝子 (mt遺伝子群)の発現低下を認めた。さらに、RNAシークエンスの機能解析の結果より、歯周病の進行により、ミトコンドリア呼吸鎖の機能低下が起こることが明らかとなった。 (2) 歯周病誘導過程におけるミトコンドリア損傷の局在について検討するための準備を整えた。すなわち、本年度は、mt-GFPマウスの個体化と繁殖を実施し、次年度に同マウスに絹糸結紮法により歯周病を誘導するための準備を整えた。(3)ミトコンドリアの損傷が歯周病発症 (再発) の指標となるのか否かを歯周病メインテナンス中の患者の検体を用いて検証するために、歯周病患者の歯肉溝滲出液 (GCF) を採取とプラークの採取を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウスの歯周病歯肉を用いたRNAシークエンス解析の結果より、歯周病誘導過程において、ミトコンドリア関連遺伝子の発現について検討し、これら遺伝子の発現が上昇することを明らかにすることができた。また、in vivo実験で使用するためのmt-GFPマウスの繁殖に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
1)mt-GFPマウス (ミトコンドリア遺伝子のレポーターマウス) に絹糸結紮法により歯周病を誘導して、歯周組織の組織切片を作成することにより、ミトコンドリアの損傷箇所をGFP発現を指標として蛍光顕微鏡を用いて検討する。 2)マウスに歯周病を誘導して、経時的に歯肉のRNAを回収し、ミトコンドリア関連遺伝子の発現変動をリアルタイムPCR法にて検討する。さらに、マウスに歯周病を誘導して、経時的に歯肉のタンパクを回収し、同定したミトコンドリア関連遺伝子のタンパク発現をウェスタンブロッティング法により検討する。 3)ミトコンドリア損傷を抑制する薬剤をマウスに投与し、ミトコンドリアの機能維持が歯槽骨の吸収を抑制するか否かをマイクロCT解析により検討する。 4)引き続き、歯周病メインテナンス中の患者の歯肉溝滲出液を採取して検体収集を行う。得られた検体におけるミトコンドリア関連遺伝子のタンパクをリアルタイムPCR法にて検討する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため、本実験に使用する試薬やマウスの納品が遅れており、次年度に納品が持ち越されることになったため。R4年度は、(1) mt-GFPマウスを用いたミトコンドリア損傷の局在を組織学的に検討する。(2)歯周病進行過程におけるミトコンドリア関連遺伝子の発現およびタンパク発現の検討。(3) in vivoでミトコンドリア損傷を抑制した際の歯周病進行に及ぼす影響について検討。(4)歯周病患者の臨床検体におけるミトコンドリア関連タンパクの測定、の4項目を予定している。
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