2021 Fiscal Year Research-status Report
オルガネラ迅速単離による骨組織形成過程の解明と歯周組織再生医療への応用
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21K19597
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岩山 智明 大阪大学, 歯学研究科, 助教 (80757865)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 伸也 大阪大学, 歯学研究科, 教授 (70239490)
小椋 俊彦 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 上級主任研究員 (70371028)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | 石灰化 / 基質小胞 / オルガネラ / リソソーム / ミトコンドリア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では骨組織形成の初期過程において重要な役割を担っている基質小胞について、その性状解析と形成メカニズムの理解を進めることを目的に、培養骨芽細胞およびマウス生体から単離した細胞から、基質小胞の形成オルガネラであるリソソームを単離・解析するとともに、分取した基質小胞を用いた歯周組織再生療法開発を検討する。本年度は以下の成果を得た。 まず石灰化誘導培地で培養した骨芽細胞からリソソームを迅速単離し、ショットガン解析によりリソソーム内に含まれるタンパク質を網羅的に解析した。通常培地群と比較することにより、基質小胞に特異的な分子を抽出したところ、他のオルガネラに特異的なタンパク質が多数検出された。リソソーム内に形成される基質小胞が他のオルガネラとの相互作用により成熟していくことが示唆された。 さらにマウス生体内から同様にリソソームを迅速単離できるトランスジェニックマウスを作成するためのベクター構築を完了した。加えて、マウス生体から歯根膜細胞を高効率に単離する手法や、セメント芽細胞を特異的に単離する手法を確立した。また、本研究で使用した、リソソームにHAタグを発現させ、抗HA抗体磁気ビーズにより分取する手法は、特異的にリソソームが単離できており、ショットガン解析では十分なタンパク質検出が可能であった一方で、その効率は高くないことが明らかとなった。そこで新たなアプローチとして、細胞を破砕後にsubcellularの構造物を高解像度フローサイトメトリーで解析し、特異的にリソソームのみを解析する手法を確立した。 これらの結果は硬組織形成初期過程の理解を進展させるものと期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通りリソソームの単離による基質小胞の解析を実施した。トランスジェニックマウスの作出は完了していないが、ベクター構築を完了した。さらにリソソーム単離に代わる解析法が確立できた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通りマウス生体のリソソームを迅速に単離するためのトランスジェニックマウスを作出する。計画した単離法に加えて、新しく確立したリソソーム解析法を併用し、基質小胞による硬組織形成メカニズムの理解を目指す。
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Causes of Carryover |
マウス作出にかかる費用を初年度に計上していたが、初年度はマウス作出のためのベクター構に時間を要し、作出が完了していないため、次年度使用額が生じた。同ベクターを用いて次年度にマウス作出を遂行する。
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Research Products
(1 results)