2021 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of new regulatory mechanism of protein deamidation and it's functional using oral cancer cells
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21K19609
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
自見 英治郎 九州大学, 歯学研究院, 教授 (40276598)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清島 保 九州大学, 歯学研究院, 教授 (20264054)
片桐 岳信 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (80245802)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | 脱アミド化 / 口腔扁平上皮癌 / NF-kB |
Outline of Annual Research Achievements |
タンパク質の機能は、立体構造の変化によって調節される。特定アミノ酸残基のリン酸化やアセチル化、アミド化などの翻訳後修飾は、重要なタンパク質の機能調節系である。タンパク質のアミド基を取り除く脱アミド化反応は、長い間、徐々に進行する酵素に依存しない「老化」と考えられてきた。しかし、ある種の免疫系タンパク質の短時間に起こる脱アミド化が、がん細胞や微生物による免疫回避に重要な役割を果たす、という新たなモデルが提唱された。そこで、ヒト口腔扁平上皮癌におけるCAD酵素の発現レベルを解析した結果、ヒト口腔扁平上皮癌由来の細胞株で、CAD酵素の発現が認められた。さらに、脱アミド化型のp65変異体を作製して機能を調べると、転写活性が低下することを見出した。その一方で、脱アミド化型のp65変異体を発現する細胞をTNFαで刺激しても細胞は生存し、低下した転写活性でも十分に細胞死を逃れることができることがわかった。p65の脱アミド化部位(N64D, N139D)を含むペプチドを抗原として、脱アミド化p65を特異的に認識する抗体の作製に取りかかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた変異体の作製を終え、基本的な機能の解析を実施できた。p65の脱アミド化部位(N64D, N139D)を特異的に認識する抗体はアミノ酸の変化が非常に僅かであるため、困難が予想されたので、実績のある業者に委託した。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、脱アミド化p65を特異的に認識する抗体の作製を依頼し、免疫が終わったところである。アミノ酸の変化が非常に僅かであるため抗体の作製が困難であることが予想されるが、抗体が納品されれば、本抗体を用いて、p65欠損マウス由来胎仔線維芽細胞に野生型または変異体p65を遺伝子導入し、抗体が脱アミド化p65を特異的に認識することを確認する。抗体の有用性が確認できれば、口腔扁平上皮癌患者の病理組織切片における、CADと脱アミド化p65の局在を比較解析し、臨床病理学的検討を行う。さらに、口腔癌細胞の顎骨浸潤および肺転移における脱アミド化p65の機能を明らかにするために、内在性p65に脱アミド化型変異体を導入する。これらのp65変異がん細胞をマウス左咬筋より移植し、マウスの生存率、腫瘍体積、μCT撮影による顎骨浸潤の程度、組織学的変化を解析する。
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Causes of Carryover |
変異体の作製に時間が掛からなかったことと、別予算でDNA解析ソフトを入手することができたため。また抗体作製の納品が間に合わなかったため、免疫までのステップで支払いを完了した。次年度に抗体の精製にかかる費用を確保している。
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