2021 Fiscal Year Research-status Report
Pilot study on structural discrimination, health, and wellbeing
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21K19634
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柴沼 晃 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 講師 (90647992)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神馬 征峰 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 教授 (70196674)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | 構造的差別 / ウェルビーイング / 新型コロナウイルス感染症 / ヘルス・リテラシー |
Outline of Annual Research Achievements |
個人の身体的特徴や所属する社会集団により不当な扱いを受ける差別は社会に広く存在する。被差別の当事者は政治、就業や収入、公共サービスへのアクセスなど様々な機会の制限を制度上、または慣習的に受けることがあり、構造的差別とも呼ばれる。構造的差別は被害者に多大なストレスを与え、メンタルヘルスに負の影響を及ぼす。一方、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の広がりは、感染者や感染リスクの高い職業従事者へのスティグマと差別を引き起こしている。本年度は、予備的調査として、感染症に関するヘルス・リテラシー尺度とCOVID-19に関する差別的態度に関する日本語版の尺度開発を行い、両関連に関するオンライン調査を実施した。同調査では、93名から回答を得て、それぞれの尺度の妥当性及び関連性を検討した。感染症に関するヘルス・リテラシー尺度では、主成分分析を用いて構成概念妥当性を検討し、22項目を4つのサブカテゴリーに分類した。内的妥当性を表すクロンバックのαは0.83であった。差別的態度尺度では、構成概念妥当性を検討した結果、11項目を3つのサブカテゴリーに分類した。クロンバックのαは0.79であった。回答者の社会経済的属性や健康希求行動を調整した重回帰分析の結果、両尺度に統計的に有意な負の関連があることを確認した。同研究成果をもとに、構造的差別や職業差別が健康やウェルビーイングに与える影響を分析するための縦断的パネル調査の研究プロトコルを作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染拡大下において、構造的差別や職業差別が健康やウェルビーイングに与える影響を検討するための前提として、感染症に関するヘルス・リテラシー及び差別意識に関する尺度開発を実施することができた。また、構造的差別や職業差別が健康やウェルビーイングに与える影響を分析するための縦断的パネル調査に関して、研究プロトコルを作成した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の成果をもとに、構造的差別や職業差別が健康やウェルビーイングに与える影響を分析するための縦断的パネル調査の第1回及び第2回調査を実施する。また、感染症に関するヘルス・リテラシー尺度とCOVID-19に関する差別的態度に関する尺度開発及び両者の関連性に関する論文発表を行う。
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Causes of Carryover |
本年度において、縦断的パネル調査を実施する前提として、感染症に関するヘルス・リテラシーとCOVID-19に関する差別的態度に関する尺度開発を先行させたため、当初計上していた縦断的パネル調査の開発に関する各費用の使用額が想定よりも少なかった。
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