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2021 Fiscal Year Research-status Report

温度に応答して生体機能を制御する生体センサーの探索

Research Project

Project/Area Number 21K19661
Research InstitutionOsaka City University

Principal Investigator

佐伯 茂  大阪市立大学, 大学院生活科学研究科, 教授 (60211926)

Project Period (FY) 2021-07-09 – 2024-03-31
Keywords環境温度
Outline of Annual Research Achievements

ヒトの多くの生理現象(睡眠、血圧、体温、ホルモン分泌、酵素活性な と)は約24時間の概日リズムを有し、体内時計で制御されている。体内時計には、視交叉上核に存在する中枢時計と、抹消組織に存在する抹消時計があり、体内時計は時計遺伝子によって制御される。2017年度のノーベル生理学・医学賞が、時計遺伝子の発見とその制御機構を明らかにした米ブランダイス大学のJeffrey C. Hall博士とMichael Rosbash博士、ロックフェ ラー大学のMichael W. Young博士の3氏に対して授与されたことは記憶に新しい。体内時計は環境シグナルを生体内に伝達し、生体の環適応能を制御する。日照時間は、四季が存在するわが国において大きく変化する。 更に、文明の発達に伴って、ヒトは日照時間の劇的な変化に曝されている。例えば、人工照明、夜間労働、時差を越える東西移動は日照時間に重大な影響を与える。日照時間の急激な変化が体内時計を 狂わせ、睡眠障害、摂食障害、自律神経障害のみならず、種々の代謝障害を引き起こし、メタボリック症候群の発症に影響を与えることは広く知られている。   一方、冷暖房設備、季節を越える南北移動は環境温度に影響を与えるが、メタボリック症候群の発症に対する影響については殆ど不明である。申請者は、温度も生体機能を制御する重要な制御因子であり、その制御の破綻は生体機能の破綻につながるとの仮説をたてた。そこで本研究では、その仮説を検証することを目的に、 温度に応答して生体機能を制御する生体センサーを探索する。本研究の試みは、温度システム生物学の黎明期である現在において、非常に 挑戦的であり、温度を基軸とするバイオロジーの発展に寄与すると期待される。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

正常ラットと遺伝的メタボリック症候群モデルラットを実験に用いた。褐色脂肪はミトコンドリアを多量に含み、脂肪酸酸化による熱産生とエネルギー消費に関与する分子が発現していると考えられる。室温環境下でメタボリック症候群モデルラットは、正常ラットに比べて褐色脂肪のUCP1遺伝子を介するエネルギー消費が低下していた。このことからメタボリック症候群モデルラットは、褐色脂肪のUCP1遺伝子発現の低下がメタボリック症候群を呈する原因の一つになりうると考えられた。一方で、低温環境下でメタボリック症候群モデルラットのUCP1遺伝子の発現は、正常ラットと同等レベルにまで上昇した。したがってメタボリック症候群モデルラットの褐色脂肪組織は室温環境下では機能が低下しているものの、寒冷刺激に対して正常に応答し、熱産生を亢進することが示唆された。今後、褐色脂肪以外に、白色脂肪での解析を進める。

Strategy for Future Research Activity

哺乳動物には褐色脂肪と白色脂肪が存在している。両者とも細胞内に多量の中性脂肪を蓄えているという点では同じだが、存在場所や構造、働きが大きく異なる。褐色脂肪組織はミトコンドリアを多量に含み、脂肪酸酸化による熱産生とエネルギー消費に関与する分子が高発現している。一方、白色脂肪は体内にエネルギーを貯蔵し必要に応じて全身へ供給する。近年、白色脂肪に寒冷曝露やノルエピネフリン投与などの刺激を与えると、エネルギー代謝関連遺伝子の発現が亢進し、白色脂肪組織が褐色脂肪である「ベージュ脂肪細胞」に誘導され、褐色脂肪と同様に熱産生を行うことが明らかになっている。そこで、正常ラットと遺伝的メタボリック症候群モデルラットを実験に用いて、褐色脂肪以外に白色脂肪においても、正常ラットと遺伝的メタボリック症候群モデルラットにおいて環境温度によって挙動が異なる因子の探索を目指す。

Causes of Carryover

2021年度に予定していた遺伝子解析の一部を2022年度に行うこととし、未使用額はその経費に充てることとしたい。

URL: 

Published: 2022-12-28  

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