2021 Fiscal Year Research-status Report
薬局におけるICTを用いた多職種連携によるプレコンセプションケアのモデル構築
Project/Area Number |
21K19674
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
松永 佳子 東邦大学, 看護学部, 准教授 (70341245)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日紫喜 光良 東邦大学, 理学部, 准教授 (30324271)
野呂瀬 崇彦 帝京大学, 薬学部, 教授 (30433452)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | プレコンセプションケア / 薬局 / 多職種連携 / ICT |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、薬局において情報通信技術(Information and Communication Technology:ICT)を用いた多職種連携によるプレコンセプションケア(Preconception care:PCC)のモデルを構築することである。2021年度は、【薬局PCCモデル】案を作成するために、国立成育医療研究センターが開発したPCCチェックリストをもとに質問紙を作成し、市場調査会社であるCintJapanを通じ、調査協力への同意を得られた全国の18歳から50歳(生殖年齢)の男女600名、および薬局に勤務する薬剤師200名を対象に、PCCおよび薬局での相談窓口の利用に関するニーズ分析を行った。 その結果、一般の男女を対象とした結果から、薬局において月経痛等に関する相談をきっかけにPCCにつなげる可能性が示唆された。また、薬局だけでなく学校で知識を得たいというニーズ、医師による相談を望むものが4割を超えており、医師に繋げるシステムの構築の必要性があることが明らかとなった。一方、知識や相談は不要であるものも4割いることから、PCCに関する啓発活動が必要であると考える。 一方、薬剤師を対象とした結果からはPCCの提供経験は少ないものの潜在的な提供意欲、知識ニーズは高いことが示された。PCCに関する知識を学ぶ機会がないこと、一定数の薬剤師にPCC提供の意欲があることから、研修コンテンツにはPCCに関する内容だけでなく、対象者とのコミュニケーション方法、他職種との連携についても含める必要性が示唆された。 以上のことから、【薬局PCCモデル】案として、薬局での直接的な啓発並びに学校にPCCに関するチラシを設置すること、そのチラシから知識を得るHPサイトにアクセスしてもらい、必要に応じて専門職に相談できるシステムを構築していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度は、【薬局PCCモデル】案を一般の男女600名および薬剤師200名を対象としたWeb調査を基に検討した。検討の結果、3段階により構成される【薬局PCCモデル】案を提案する。第1段階は薬局と高校・大学にPCCを啓発するためのチラシを設置する、さらに必要とされる女性に薬局薬剤師あるいは養護教諭がチラシ(2022年度作成)を配布することで本モデルを周知する。第2段階はチラシを得た女性が自身のPCやタブレット、スマートフォンからPCCに関する説明サイト(2022年度作成)にアクセスし、情報を得る。第3段階は、女性が必要に応じて産婦人科医、助産師、薬剤師とオンラインにて相談できるモデルである。 第2、第3段階で女性に対応するための専門職(薬剤師、助産師、産婦人科医)を対象に研修を実施する。調査結果からPCCに関する内容として、プレコンセプションケアとは、女性のホルモンと健康課題、月経の成り立ち・月経に関わる疾患、妊娠の成り立ち、子宮頸がん検診、HPVワクチン、性感染症、避妊方法、緊急避妊薬に加えて、コミュニケーション方法(患者、利用者、他職種との対話、接遇)と産婦人科医や助産師とどのように繋がるかについて含めることとした。
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Strategy for Future Research Activity |
【薬局PCCモデル】案の実施準備を行う(松永・日紫喜・野呂瀬)。2021年度に検討した助産師、薬剤師を対象とした研修会をオンラインで実施する(松永・野呂瀬)。なお、研究の一環として、2023年度の【薬局PCCモデル】案の実施担当者としての役割が期待されていることについて同意を得た上で研修会に参加してもらう(松永)。研修会への参加者の公募のために、第63回日本母性衛生学会学術集会の交流集会にて【PCCモデル案】を紹介し、2021年度のWeb調査結果を、第63回日本母性衛生学会学術集会、第55回日本薬剤師会学術集会、日本社会薬学会第40年会で発表する(松永・日紫喜・野呂瀬)。また、2023年度に向けて申請者らの勤務地である東京、千葉の薬局に②【薬局PCCモデル】案の協力依頼を行い、同意を得た上で準備をすすめる(松永・野呂瀬)。さらに、ICTを活用した情報共有システムの構築を行う(日紫喜)。薬局に協力依頼をするにあたり、③PCCの重要性に関する啓発教材のためのHPコンテンツを作成する(松永・日紫喜・野呂瀬)。
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Causes of Carryover |
コロナ禍、研究会議をオンラインで実施したことによる旅費の支出がなかったこと、Web調査費用が抑えられたことによる。2022年度に作成を予定しているPCC啓発のためのチラシの作成にあたり、デザイン等を専門家に委託するための費用、研修会関連費用、HPコンテンツの作成費用として使用する予定である。
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