2021 Fiscal Year Research-status Report
NMRモード解析による死後体液試料からの死因診断法の開発
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21K19676
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
市川 実咲 日本医科大学, 医学部, 助教 (50879848)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平川 慶子 日本医科大学, 医学部, 非常勤講師 (30165162)
金涌 佳雅 日本医科大学, 大学院医学研究科, 大学院教授 (80465343)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | NMR / 磁気共鳴分析 / 死因究明 / 異状死 |
Outline of Annual Research Achievements |
異状死の死因診断において、薬毒物検査の検査はルーチン的に実施がなされている。それは異状死例において、中毒死あるいは薬毒物の影響・関与がある死亡例の取り扱いが多いことによる。法医中毒学の分野では、さまざまな分析技術が開発され、実務に応用されている。そのような中で、従来、有機化合物の分子構造解析等に用いられることの多い核磁気共鳴(NMR)分析技術を、純度や濃度の分析に応用する、qNMR法が開発され、実用されつつある。qNMR法では、定量分析に標準品が必要では無いこと、分析法によっては試料処理が不要であるといった利点があり、法医中毒学的分析への応用も十分期待できる。 本課題では、解剖時に採取した血液試料等を対象に、qNMR法と従来の薬毒物分析技術により、定量分析を実施し、法医実務への有用性、定量結果の精度・信頼性などの評価・検討することとした。 今後の研究をスムーズに進めるために当初の研究計画を見直し、新たに作成した研究計画について、東京都監察医務院についてはすでに承認を得て、サンプルの収集が可能とした。 新型コロナウィルス感染症の蔓延による研究活動の自粛や本学におけるNMR装置および実験施設のリニューアル工事の影響を受け、本課題の研究は予定通りに進まなかったが、qNMR法を法医実務における新しい薬毒物検査技術として応用させるために解決すべき基盤的な課題について、検討を重ねつつ、qNMR法に必要な解析環境ならび試料処理の環境を整備した。精度の高い安定したqNMR計測を行うためには、マイクロ天秤の使用環境を整えるとともに、分析試料の質量測定を精度よく実施できるよう技術導入も図った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、ヒト死体由来の試料検体を採取する東京都監察医務院、日本医科大学の研究倫理委員会の承認を経て、実施する必要がある。日本医科大学においては、研究計画について詳細な調整が必要であったため、現在申請手続きを進めているところである。令和3年度より東京都監察医務院において剖検試料の採取を本格的に開始したが、新型コロナウィルス感染症の蔓延による研究活動の自粛等の影響により、試料の採取は当初の予定と比べて少ない数にとどまらざるを得なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の目的であるqNMR法と従来の薬毒物分析技術により、定量分析を実施し、法医実務への有用性、定量結果の精度・信頼性などの評価・検討することは維持しつつ、研究環境の変化を見据えて、効率的かつ効果的な試料収集を遂行させる計画とする。
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Causes of Carryover |
当該年度の実施に至っていなかったqNMR実験について、必要に応じて、研究補助員の雇用又は研究備品・消耗品を調達して、効率的に研究事業を進めていく。
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