2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K19700
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
大西 浩史 群馬大学, 大学院保健学研究科, 教授 (70334125)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 老化 / ミクログリア / 白質 / 運動学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度作製したマウス行動解析装置を用いて、複雑ランニングホイールによる運動学習への加齢の影響を評価した。ラダーが等間隔で並ぶノーマルホイールと、不規則に並ぶ複雑ホイール上で、ランニング速度でスキルの獲得能を評価したところ、週齢が進んだ老化マウスでは、速度が著しく低下した。全身の衰えが原因と考えられるが、スキルの向上が認められず、さらに、テープを貼ってホイールのラダー面を平坦にした場合は、老化後も高速度でランニング可能であったことから、この行動実験系で、老化によるスキルの障害を敏感に感知できると考えられた。 加齢による影響は、初めてノーマルホイールに触れた際の初期のスキル獲得が最も顕著であり、若齢マウスはいち早くスキルを獲得するが、加齢によりスキル獲得に日数を要するようになること、老化による運動スキル獲得障害は70週齢以上で顕著となることがわかった。 また、予備的実験で見出していた、加齢による概日リズムの変化について、同じ実験データを用いて詳細に比較解析した。解析結果から、加齢により活動量の低下が認められ、その変化はスキル(回転速度)の低下とパラレルに生じていた。一方で、ActogramやPeriodogramを用いた解析結果からは、老化による概日リズム障害を明確に示す結果は得られず、少なくとも12時間サイクルの照明のもとでは、基本的な概日リズムは加齢の影響を受けにくいと考えられた。 白質フレイルの実態について、ミエリン染色で老化マウスの白質の組織化学的解析に取り組んでいるが、現在までに確実なフレイル表現型を示すデータは得られておらず、さらに検討を進める必要がある。一方で、老化マウスと若いマウスの白質遺伝子プロファイルの比較データをもとに、白質老化に特徴となる遺伝子を見出している。また白質環境を操作するために、オリゴデンドロサイト指向性AAVを導入し、遺伝子導入効果を予備的に確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
開発した行動解析装置により、マウスの白質フレイルを反映すると考えられる運動学習障害が生じる時期とその特徴が明らかになりつつある点は進展として評価した。一方、装置を用いた詳細な解析の結果、予備的実験で見出していた概日リズムの障害が十分に再現されない現象であることが明らかになり、一部計画の変更が必要となった。また、行動解析により白質フレイルの時期が予測できたが、現在までの解析では、まだ白質フレイルの表現型を捉えられていないことから、やや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
抗老化作用を示す保護型ミクログリアが出現するミクログリア特異的SIRPα欠損マウスについて、保護型ミクログリアと類似のミクログリアが出現する若齢期のマウスの白質で、保護型ミクログリアが顕著に現れる白質領域の同定と、その領域で生じているミエリン構造の変化を検討し、これと類似した状態がSIRPα欠損マウスの加齢後白質に存在するという仮説のもと、加齢マウスの白質でフレイル表現型を探索する。ミエリン以外にミクログリアの活性化状態なども検討する。 老化白質の遺伝子プロファイルに基づき、白質フレイルのマーカー分子候補を絞りこむ。また、SIRPα欠損ミクログリアのアンチフレイル作用について、幼若ミクログリアが示す保護作用との類似性を新たに検討する。
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Causes of Carryover |
予測に反し、マウスの概日リズムの加齢障害とSIRPα欠損による応答変化がみられなかったため、追加で投入する予定であった行動解析装置の作製を一旦保留し、計画を再検討する必要が生じた。一方で、行動解析装置を用いて、白質依存的行動の加齢変化が、予想よりも高感度で再現性よく検可能となる可能性が明らかになったため、これを用いた解析を拡張し、老化マウスを準備する期間が必要となり、計画の一部が次年度にまたがることとなった。次年度使用額は翌年度分として請求した研究費と合わせて、動物飼育費、人件費などに使用する計画である。
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Research Products
(12 results)