2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21K19702
|
Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
安藤 創一 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (50535630)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田代 学 東北大学, サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター, 教授 (00333477)
藤本 敏彦 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 准教授 (00229048)
|
Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
|
Keywords | 運動 / 脳 / 海馬 |
Outline of Annual Research Achievements |
運動が脳機能の維持や向上に効果的であることは広く知られている.ヒトを対象とした研究において,運動が脳機能にもたらす効果の検証には非侵襲的なイメージング機器を用いることが一般的である.しかし,メカニズムの解明など侵襲的な手法が必要な場合は動物モデルを用いる必要がある.したがって,現在知られている運動と脳に関するエビデンスには,ヒトでは直接検証されていないものが多い.脳の海馬は記憶や認知などの機能を担っている領域である.げっ歯類の研究から海馬では運動により生涯を通じて神経新生が起こることが示されてきたが,近年この結果と反する研究も見られている.これらの結果は運動がヒトの海馬にもたらす影響をヒトで検証することの重要性を示している.そこで本年度は,ヒトを対象としてポジトロン断層法(PET)を用いて一過性の有酸素運動による海馬での内因性ドーパミン遊離を検証した.薬剤にはラクロプライドを用い,海馬での内因性ドーパミン遊離を定量化できるように考案した解析手法を導入した.また,動的な足上げ運動により海馬での糖取り込みに変化がみられるかについて,フルオロデオキシグルコースを用いたPETにより検証した.本研究の結果,ラクロプライドの脳内分布を示す平均画像からは一過性の有酸素運動によりヒトの海馬においてドーパミン遊離がみられる可能性が示唆された.一方,一過性の足上げ運動では海馬における糖取り込みにより変化はみられなかった.これらの結果から,一過性の運動がヒトの海馬における神経伝達物質と糖取り込みにもたらす影響の一端が明らかとなった.
|
Research Products
(1 results)