2022 Fiscal Year Research-status Report
熱中症予防と皮膚の健康に欠かせないフレッシュな汗の量と成分の測定法開発
Project/Area Number |
21K19712
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
近藤 徳彦 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (70215458)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笠間 敏博 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (00564717)
井上 芳光 大阪国際大学, 人間科学部, 名誉教授 (70144566)
藤井 直人 筑波大学, 体育系, 助教 (00796451)
天野 達郎 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (60734522)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 汗成分 / wearable sodium sensor |
Outline of Annual Research Achievements |
我々の生活の質(QOL)を支えている発汗機能は汗の量と質の両面から検討する必要があり,後者は汗に含まれる成分(塩分など)で出た汗を効率よく蒸発させ,また,体液の恒常性維持に大きく関連している.しかし,方法論的な問題から,1)フレッシュな汗の成分の絶対値が測定できない,2)汗の量と汗の成分の絶対値を短い間隔で,同時に,また,同じ部位(皮膚)から計測できない,という課題があり,発汗研究の推進を妨げている.本研究は人のQOLに大きく貢献する発汗機能の新しい評価方法を検討した. 1)フレッシュな汗の量と成分の絶対値を同時に測定する方法の開発(研究I) 溝が皮膚面のみついているシリコンプレートを作成し,皮膚に密着した.汗は溝を通りピペット状の容器に貯まり,この容器に貯まった汗の量と成分を一定間隔で分析した.汗は27℃・50%に設定された環境試験室で膝から下を湯(42°C)に50から60分間浸し,体温上昇により汗を引き起こした.汗量と汗成分を発汗開始後,10から15分間隔で分析することができたが,汗量の値が従来の方法より多く,今回のプレートの皮膚への密着方法が課題となった. 2)新デバイスによる下肢温浴時の汗の量と成分(質)の測定(研究II) 皮膚に出た汗の成分を直接測定できるWearable Sodium Sensor(ウェラブルNaセンサー)を開発し,それを特殊なカプセル内に配置し,汗成分を直接測定した.多量な発汗時の汗成分は直接測定することが可能であったが,特殊なカプセル内での汗収集に課題(カプセル内に汗を留めることが難しい等)があり,カプセルの形状等を再検討する必要が出てきた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
汗成分が測定可能な2つのデバイスを構築し,汗成分の測定を行ったが,1)シリコンプレートの方法ではこのプレートを皮膚に密着させる方法に課題があり,2)Wearable Sodium Sensor(ウェラブルNaセンサー)を用いた方法では,汗を収集するカプセルの形状等の課題があり,いずれの方法でも,目的であった汗量と汗成分分析を正確に実施するためには方法の再検討が必要になった.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で開発した汗量と汗成分を分析する方法に次の課題が明らかになった. 1)シリコンプレート方法:皮膚へ密着する方法 2)Wearable Sodium Sensor(ウェラブルNaセンサー)方法:このセンサーを組み込む発汗収集カプセルの形状 まず,フレッシュな汗の成分と汗の成分の絶対値を一定間隔で測定するためには,この2つの方法のどちらが適切であるのか比較を行う.次に,選んだ方法の課題を解決する方法を検討し,方法の妥当性を明らかにする.現段階では日常生活での測定が可能であると考えられる,2)の方法の課題解決を優先させる方向で検討している.
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Causes of Carryover |
Wearable Sodium Sensor(ウェラブルNaセンサー)を組み込む発汗収集カプセル作成とそれをもとにした汗分析実施のために次年度使用額が主に生じている.また,実験補助・被験者謝金・実験消耗品・会議等の予算も計上する予定である.
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