2022 Fiscal Year Research-status Report
未利用資源を活用した小麦加工品の新規低アレルゲン化技術の開発
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21K19713
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
鶴永 陽子 島根大学, 学術研究院人間科学系, 教授 (60517051)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 栄伸 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 教授 (90182237)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 食物アレルギー / 小麦依存性運動誘発アナフィラキシー / 低アレルゲン化 / 小麦加工品 |
Outline of Annual Research Achievements |
アレルギーの原因物質であるアレルゲンは、特有のタンパク質成分であるため、アレルゲンの性質を示す部分(エピトープ)を特異的に変性すれば、低アレルゲン化が可能になる。食物依存性運動誘発アナフィラキシー(WDEIA)の原因物質はグルテン画分(ω5-グリアジン)であることが研究分担者によって報告されている。植物中に普遍的に含有されている可溶性タンニンは、タンパク質と強く結合してタンパク質の3次元構造や重合を阻害する特性を有する。そこで本研究では、タンニンを利用したアレルゲンタンパク質の変性方法ついて検討した。2022年度は、パンの低アレルゲン化技術について検討した。 原料小麦は、市販のパン用小麦(BW)と低アレルゲン化小麦(1BS-18ミナミノカオリ)を使用した。タンニン素材としては,カキとクリの未利用部位のスクリーニングによりクリ渋皮を選定した。小麦の0(control)、3,5,10%をクリ渋皮と置換し、2種のELISA法、ならびにウェスタンブロッティング法にて低アレルゲン化を評価した。その結果、BWならびに1BS-18ミナミノカオリのどちらも、クリ渋皮の添加によりアレルゲンが低減化し、置換量が多いほど効果が顕著に表れた。また、クリ渋皮添加がパンの品質に及ぼす影響について評価した。その結果、両小麦粉とも置換量が多いほど比容積は低下し、赤味を示すa*値が上昇した。物性は、0(control)、3%、5%置換区では有意差がなく、10%置換区では著しく値が変化した(p<0.05)。以上の結果から、品質を保持しながら、低アレルゲン化を実現するためには、クリ渋皮5%置換が最適であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
小麦粉の代表的な加工品であるクッキー、パンにおいて低アレルゲン効果を確認でき、特許出願に至ったため。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は特許出願のため、論文投稿が出来ていない。2023年度中に複数の論文を投稿する予定である。
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Causes of Carryover |
2023年度中に複数の国際誌に論文を投稿する予定である。そのため、追試験、英文校閲費、論文投稿に関わる費用を残しておく必要があった。
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