2021 Fiscal Year Research-status Report
経皮的迷走神経刺激によるヒト運動系のニューロモジュレーション
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21K19719
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
小幡 博基 九州工業大学, 教養教育院, 准教授 (70455377)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関口 浩文 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (20392201)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 経皮的迷走神経刺激 / 運動学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
迷走神経活動の賦活は、脳内のGABA伝達物質や神経修飾物質の放出を促すことで、脳の興奮性変化や可塑性を惹起することが報告されている。しかしながら、これまで迷走神経刺激とヒト運動系の関係に着目されることはなかった。本研究の目的は、耳介に分布する迷走神経を経皮的に刺激し、非侵襲的に賦活する経皮的迷走神経刺激(transcutaneous VNS: tVNS)が、1)一次運動野の興奮性や可塑性に影響を与えるのか、2)運動学習の速度や定着に影響を与えるのかを明らかにすることである。 本年度は、tVNS実験を始めるため、tVNS電極の試作し、先行研究と比較した刺激強度の妥当性を検証した。電極の形状や大きさを調整することで、耳介へのtVNS電極の固定が安定し、先行研究と同程度の刺激の痛覚(弱い痛み)で刺激強度を設定できるようになった。tVNSが運動学習に与える影響を調べるため、運動学習の神経基盤が異なる運動系列学習と運動適応学習の学習課題を作成した。また、tVNSが認知機能や運動機能に与える影響についても十分な知見がないことから、両機能へ与える影響を調べるためのセットアップを行った。tVNSが認知機能に与える影響を調べるため、短期記憶をテストする視覚記憶課題の作成と、課題とtVNSを連動するプログラムの作成を行った。運動機能に与える影響を調べるため、立位課題とtVNSを連動させるためのセットアップを行った。これらの運動学習課題、認知機能課題、運動機能課題を効率よく行うための測定系を構築し、実験を開始したところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、研究期間を通して使用する機器の準備、tVNS電極の試作、課題に必要なプログラムの作成を行った。tVNSが運動系列学習と運動適応学習に与える影響を調べるためのセットアップが終わり、被検者を募集しつつ、実験を行っているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、前半に運動系列学習に関する実験を、後半に運動適応学習に関する実験を行う。また、2023年度に予定している運動野の興奮性や可塑性に関する実験を実施できるよう、測定系の構築を行っていく。
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Causes of Carryover |
本年度は新型感染症に伴う緊急事態宣言および蔓延防止等重点処置の影響で、1)被検者募集のタイミングが限られたこと、2)予定していた出張が中止になったこと、が次年度使用額が生じた理由である。次年度は、実験を当初の予定よりも多く実施することで、助成金を謝金として活用する。
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