2022 Fiscal Year Research-status Report
経皮的迷走神経刺激によるヒト運動系のニューロモジュレーション
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21K19719
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
小幡 博基 九州工業大学, 教養教育院, 教授 (70455377)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関口 浩文 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (20392201)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 経皮的迷走神経刺激 / 運動学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はtVNSが健常者の運動学習に影響を与えるのかを明らかにするため、運動系列学習の代表的なパラダイムである手指の系列タッピング運動学習課題を用い、tVNSがこの運動学習課題の学習速度を速めたり、定着を促進するのかを調べた。またtVNSが健常者の認知機能に与える影響についても十分な知見がないことから、tVNSが短期記憶課題の成績を向上させるのかを調べた。 被検者は健常成人で、tVNS群が11名、sham群が9名であった。tVNS群では経皮的に迷走神経刺激するために耳珠を、sham群では迷走神経が走っていない耳たぶを電気刺激した。系列タッピング運動学習課題は、5つの数字により構成される数字のシークエンス通りに、キーボードを非利き手で繰り返しタイピングするものである。30秒間を1 blockとし、被検者には30秒の間にできるだけ速く、間違えずにタイピングするように教示した。この課題を連続する2日間において、1日目(Day1)は12 block、2日目(Day2)は6 block実施した。系列タッピング運動学習課題では、1日目の課題の遂行中に電気刺激が与えられた。評価指標には、成功率(%)を成功したシークエンスにかかった時間の平均(sec)で除したskill indexを用いた。その結果、Day1の12 block目のskill indexには両群の差は認めれなかった。また、Day2の1 block目のskill indexにも両群の差は認めれなかった。一方、短期記憶課題(3つの図形を覚え、後から表示される図形と同じものがあったのかを答える課題)において、tVNS群ではsham群に比べて正答率が上昇する傾向にあった(t検定、p=0.06)。 これらの結果は、tVNSは健常者の認知機能を向上させるが、運動系列学習の学習速度や定着には影響を与えないことを示唆するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、tVNSが運動学習の速度や定着に影響を与えるのかを明らかにすることである。運動学習には様々な種類があり、本研究では運動系列学習と運動適応学習を対象としている。現在までのところ、運動系列学習については実験および解析が終わった。現在、視覚-運動変換を必要とする運動適応学習について実験を行っており、2023年の4月中には実験を終える予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画ではtVNSの効果について、運動学習への影響だけでなく、一次運動野の興奮性や可塑性に与える影響を調べる予定であった。しかしながら、運動学習への影響についての検討が不十分であることから、今年度は運動適応学習への影響について、さらに掘り下げて実験を進めて行く。運動適応学習のうち、現在実験を行っている視覚-運動変換課題に加えて、今年度の中盤には力発揮制御課題におけるforce fieldへの適応を調べる予定である。
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Causes of Carryover |
新型感染症の影響で国外学会参加のための出張ができず、旅費の出費が少なかったため次年度使用額が生じている。2023年度も海外出張の予定はないため、差額分は追加実験の被検者謝金およびデータ解析のための物品等を購入する予定である。
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