2021 Fiscal Year Research-status Report
タンパク分解系に着目した新たなサルコペニア動物モデルの創出
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21K19720
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
北嶋 康雄 広島大学, 医系科学研究科(医), 助教 (70734416)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 骨格筋 / タンパク分解 / 老化 / 筋萎縮 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本は世界でも前例がないほどのスピードで高齢化が進行している。高齢社会の進行においてサルコペニア(加齢に伴う筋萎縮)に伴う運動機能低下は多くの要介護者を生み、健康寿命を短縮する重大な問題につながる。そのような背景の元、サルコペニアを代表とする骨格筋萎縮に関して、未だ確固たる解決策には至っていない。そこで本研究は、これまでにない新しいサルコペニアモデルマウスを創出することをめざす。 2021年度は、テトラサイクリン遺伝子発現誘導系の遺伝子組み換え技術を用いて、骨格筋特異的なActin発現部位でプロテアソームコンポーネントがドキシサイクリン依存的にノックアウトできる、誘導型の筋特異的プロテアソーム機能不全マウス(mKOマウス)を作出した。サルコペニア症状の骨格筋では、タンパク分解系の主役であるプロテアソーム系の機能低下が報告されており、骨格筋特異的なプロテアソーム機能不全マウスは遺伝的にそれらを模倣できるモデルになる可能性が考えられる。作出したマウスを対象にドキシサイクリンで遺伝子欠損を誘導後に、ConマウスとmKOマウスの骨格筋での遺伝子発現を調べたところ、プロテアソームコンポーネント遺伝子がmKOマウス前脛骨筋で有意に減少していた。筋重量の解析においては、主に速筋で構成される前脛骨筋や腓腹筋は筋萎縮し、遅筋で構成されるひらめ筋では萎縮が認められなかった。次年度では、このマウスを用いて、タンパク分解系の遺伝子およびたんぱく質発現の解析を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2021年度に予定していた全ての解析が順調に終了したため。具体的には、ドキシサイクリン誘導の骨格筋特異的プロテアソームコンポーネント欠損マウスの作出から解析に取り組んだ。これにより、次年度以降では、タンパク分解系の詳細な解析の計画に進むことができる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は目的達成のために、誘導型の筋特異的プロテアソーム機能不全マウス(mKOマウス)を作出した。mKOマウスでは、速筋特異的に筋萎縮を示す再現性の高いデータを得た。今後は、プロテアソーム活性およびタンパク分解系の包括的な機能評価や筋幹細胞におけるサルコペニア関連の機能評価について行う。これまでの報告でサルコペニア症状に関連して、骨格筋では加齢によりプロテアソーム活性が低下することが報告されており、タンパク分解系の機能低下が示唆されている。そこで、本モデルにおいてプロテアソーム系の活性低下が認められるかどうかを検証する。併せて、タンパク分解系のユビキチン-プロテアソーム系(Ubiquitin, Murf1, Atrogen1,…)とオートファジー-リソソーム系(LC3,p62,Atg5,Atg7,Beclin1,…)に関連するタンパク質発現なども包括的に調べる。
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Causes of Carryover |
当初計画していた計画1の「誘導型の筋特異的プロテアソーム欠損マウスの解析」が速やかに進んだため、次年度以降に計画していた計画2の準備を進めるために研究費の前倒し申請を行った。請求した助成金は、計画2に含まれているタンパク分解系解析のために使用する。
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Research Products
(3 results)