2023 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of the effect of physical exercise on visceral sensation and its molecular mechanism
Project/Area Number |
21K19729
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
宮井 和政 大阪公立大学, 大学院リハビリテーション学研究科, 教授 (60283933)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 内臓感覚 / 排泄器官 / 内因性カンナビノイド / アデノシン三リン酸 / 有酸素運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
膀胱や直腸などの排泄器官は、蓄尿・畜便に応じた伸展により粘膜上皮からATPを分泌して内臓感覚神経を興奮させ、中枢に尿意・便意・痛みなどの内臓感覚を伝えている。近年、これらの器官の内臓感覚過敏を伴う疾患は増加傾向にあり、内臓感覚過敏の緩和は喫緊の課題となっている。そこで本研究では、有酸素運動負荷が膀胱・直腸からのATP分泌に与える作用と、有酸素運動により増加することが知られている内因性カンナビノイドのATP分泌に対する寄与を検討した。 有酸素運動負荷としては、最大酸素摂取量55%に相当する中程度強度、および最大酸素摂取量85%に相当する強程度強度のトレッドミル走行運動をマウスに実施させた。その結果、どちらの強度の有酸素運動も運動負荷直後に伸展刺激に応じた膀胱・直腸からのATP分泌をほぼ同程度に抑制した。また、直腸では、運動負荷直後のみならず、より大きな抑制効果が運動負荷1日後でも運動強度に関わらず認められた。この結果は、有酸素運動により内臓感覚を抑制できる可能性と、その有酸素運動の強度は中程度で十分であることを示している。 次に、膀胱・直腸からのATP分泌における内因性カンナビノイド経路の役割を検討した。その結果、内因性カンナビノイド受容体CB1とCB2、および内因性カンナビノイド代謝酵素である脂肪酸アミド加水分解酵素とモノアシルグリセロールリパーゼの4種の阻害薬は、運動負荷を与えない条件下では伸展刺激に応じたATP分泌に影響を与えないことが示された。また、内因性カンナビノイドの1つであるアナンダミドとその安定化アナログであるメタナンダミドは、局所投与でも全身投与でもATP分泌に有意な作用を与えなかった。以上のことから、有酸素運動によるATP分泌抑制には内因性カンナビノイド以外の要因が関与している可能性が示された。
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