2022 Fiscal Year Research-status Report
Role of renal sympathetic nerve and myokine in inhibitory effects of exercise on the progression of polycystic kidney disease
Project/Area Number |
21K19731
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Research Institution | Tohoku Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
伊藤 修 東北医科薬科大学, 医学部, 教授 (00361072)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上月 正博 東北大学, 医学系研究科, 名誉教授 (70234698)
森 建文 東北医科薬科大学, 医学部, 教授 (40375001)
森本 哲司 東北医科薬科大学, 医学部, 教授 (10344657)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | リハビリテーション / 運動 / 腎臓 / 交感神経 / 細胞・組織 |
Outline of Annual Research Achievements |
常染色体顕性多発性嚢胞腎(autosomal dominant polycystic kidney disease;ADPKD)は、加齢に伴い腎嚢胞が増大、進行性に腎機能が低下、70歳までに約半数が末期腎不全に至る指定難病である。研究代表者らは各種腎疾患モデルラットを用いて長期的運動の腎保護効果とその機序に関する研究をこれまで行ってきた。ADPKDモデルであるpolycystic kidney (PCK)ラットを用いて長期的運動が嚢胞増大を抑制することを明らかにしたが、その機序の詳細はまだ明らかでない。 PCKラットにおいて長期的運動は尿中アドレナリンやノルアドレナリン排泄量を増加させたことから、長期的運動の嚢胞増大抑制効果における腎交感神経の関与を検証するため、Gi蛋白共役のα2アドレナリン受容体作動薬であるclonidineをPCKラットに12週間経口投与し、その効果を検討した。clonidineは尿量を変化させることなく、尿蛋白を減少させた。clonidineは血漿クレアチニンを軽度増加させたが、糸球体硬化には影響せず、糸球体上皮傷害、腎嚢胞増大、嚢胞周囲の細胞増殖を抑制した。clonidineは腎cAMP含有量を低下させ、B-Raf発現、extracellular signal-regulated kinase (ERK)とS6リン酸化を抑制したが、mammalian target of rapamycin (mTOR)やS6K1リン酸化には影響しなかった。 以上の結果から、PCKラットにおいてα2アドレナリン受容体作刺激は尿量増加を伴わずに腎嚢胞増大を抑制し、その機序にはcAMP/B-Raf/ERK/S6経路の抑制が関与すると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的の一つである運動療法による多発性嚢胞腎の進行抑制効果における腎交感神経の関与について研究したところ、PCKラットにおいてα2アドレナリン受容体作動薬であるclonidineは尿量増加を伴わずに腎嚢胞増大を抑制することを明らかにできた。さらに、その機序にはcAMP/B-Raf/ERK/S6経路の抑制が関与することも明らかにできた。
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Strategy for Future Research Activity |
Clonidineは腎α2アドレナリン受容体への直接作用以外にも中枢のα2アドレナリン受容体を介した作用を有していることから、令和5年度は、中枢のα2アドレナリン受容体には作用しないα2-アドレナリン受容体作動薬を用いて腎嚢胞増大へのα2-アドレナリン受容体刺激の直接効果について検討し、運動療法による多発性嚢胞腎の進行抑制効果の機序を明らかにしていく予定である。
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Causes of Carryover |
(理由) 次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことにより発生した未使用額である。 (使用計画) 令和5年度請求額とあわせ、運動療法の嚢胞増大抑制効果の機序と推測されるα2-アドレナリン受容体を介した交感神経の関与を明らかにするために使用する予定である。
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