2023 Fiscal Year Research-status Report
若年期に刻むマッスルメモリーで寝たきりゼロは実現できるか?
Project/Area Number |
21K19735
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
吉原 利典 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 准教授 (20722888)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内藤 久士 順天堂大学, 大学院スポーツ健康科学研究科, 教授 (70188861)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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Keywords | マッスルメモリー / 運動適応 / エピジェネティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、生命科学的な視点から若年期の生活・運動習慣が加齢性疾患の根本的な原因となり得るのかを検証するために、若年期の運動経験が筋内に記憶され、中高齢期の健康問題に対抗する手段となるとの仮説について検討を行うものである。本年度は、若年期の自発走トレーニングが中年期に実施するトレーニング効果の獲得(クエン酸合成酵素活性の亢進やミオシン重鎖アイソフォームのタイプ移行)に影響を与える分子機序を明らかにするために微量な筋サンプルからDNAおよびRNAを同時に抽出する方法を確立させ、各群2~3匹ずつDNAとRNAを抽出した。現在、RNAシーケンス解析およびDNAアレイ解析を実施している。また、タンパクレベルの解析を行ったところ、ヒストンH3のアセチル化量は、若年期のトレーニングによって増加する傾向が見られ、若年期に運動経験を有する群ではその亢進が顕著であった。このことから、若年期のトレーニングによる長期的なヒストンH3のアセチル化は、中年期以降の骨格筋の代謝能力やミオシン重鎖アイソフォームのタイプ移行を調節する上で重要な役割を担っているのかもしれない。今後、若年期のトレーニングによる長期的なヒストンのアセチル化が、どのような遺伝子プロモーター領域に特異的に生じているのかについて明らかにする必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、昨年度に採集したサンプルからDNAおよびRNAを抽出し、RNAシーケンス解析およびDNAアレイ解析を実施することができた。また、タンパクレベルの解析を行いグローバルなレベルでのヒストンH3のアセチル化量が、若年期のトレーニングによって増加する傾向が見られ、若年期に運動経験を有する群ではその亢進が顕著であることを示すことができた。解析を引き続き実施し、若年期のトレーニングによって生じる遺伝子発現の変化やDNAメチル化のようなエピジェネティックな変化を明らかにするとともに、長期的なヒストンのアセチル化が、どのような遺伝子領域に特異的に生じているのかについて明らかにする。 解析が全て終了しなかったことからやや遅れがあるが、引き続き解析を実施し目的の達成に努める。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度までに得られたサンプルの分析を継続して行うとともに、若年期の運動あるいは運動不足が骨格筋にどのような形で記憶され、中年期に行うトレーニング効果の獲得に影響を与えているのかについて明らかにする。DNAメチル化アレイ解析やCUT&RUN-qPCR解析を実施することにより、若年期のマッスルメモリーに関わる骨格筋エピジェネティクスについて明らかにする予定である。
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Causes of Carryover |
次年度の4月に執行予定のRNAシーケンス解析およびDNAアレイ解析などの委託解析費用を執行するため次年度使用額が生じた。用途を明確にして計画的に使用していく予定である。
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