2022 Fiscal Year Annual Research Report
Roles of 8-nitro-cGMP pathway as the coincident detector for memory formation.
Project/Area Number |
21K19752
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital and Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
遠藤 昌吾 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究部長 (60192514)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柿澤 昌 京都大学, 薬学研究科, 准教授 (40291059)
|
Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
|
Keywords | 小脳 / ROS / cGMP / Nitric oxide / PKG / 記憶 / 連合性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、記憶において「ROS(活性酸素種)/NO(一酸化窒素)/8-ニトロ-cGMP系が情報の『連合性検出器』である」という仮説を検証した。顔-名前、梅干し-唾液分泌、運動-修正信号など、記憶には情報が連合されることが必須である。また、加齢による感覚情報の連合性障害は記憶低下の主原因とされる。様々な記憶を維持・改善する方法を開発するためには、それぞれの記憶を支える「連合性検出器」の解明が重要である。 本研究で対象とする運動学習を担う神経可塑性・小脳LTD(長期抑圧)においては、運動情報を担う平行線維入力と修正信号情報を担う登上線維入力の連合性が不可欠である。我々は小脳LTDへの8-ニトロ-cGMPの関与と平行線維活動によるNO産生を明らかにしたことに基づき、もう一方の登上線維活動によりROSが産生されることで、NO/ROS/8-ニトロ-cGMP系が「連合性検出器」として機能しLTDが惹起されると考えた。そして、一酸化窒素(NO)と活性酸素(ROS)から産生される8-ニトロ-cGMPシグナル系がLTDに関与することを示し、さらに、8-ニトロ-cGMPシグナル系がLTPの阻害を介して、小脳シナプス可塑性の極性(増強―抑圧)を決定づける可能性を明らかにした。また、LTDが細胞基盤とする小脳依存性記憶、視規性眼球応答(OKR)に、ROSが重要であることを明らかにし、短寿命の2分子NOとROSの両者が連合して作り出す、NO/ROS/8-ニトロ-cGMP系の重要性を示した。 以上のことから、NO/ROS/8-ニトロ-cGMP系は「連合性検出器」として、小脳の神経可塑性および小脳依存性記憶を制御することを明らかにした。ROSは生体にとって「悪玉」であるとされるが、本研究により、ROSは脳において重要な生理機能を持つシグナル分子であり、記憶を制御することを明らかにした。
|
Research Products
(15 results)