2021 Fiscal Year Research-status Report
Auction design for two-sided markets: an approach from discrete optimization
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21K19759
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平井 広志 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 准教授 (20378962)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 明久 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (50217189)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | オークション / メカニズムデザイン / 双方向市場 / アルゴリズム / ポリマトロイド |
Outline of Annual Research Achievements |
まず,双方向市場のオークションに対する最先端の研究結果であるDutting et al. (2021)やColini-Baldeschi et al. (2020)について内容を精査した.これらの論文ではエージェントの品物への評価額が確率分布にしたがっており,仲介者がその分布、もしくはその分布からの1サンプルの情報を利用できると仮定して,優れた性質を満たすメカニズムを提案している.研究代表者らはその仮定を維持もしくは緩和したうえで,これらの論文において捉えられていない重要な問題設定に対して適用することができるようなメカニズムの構築を目指して議論を行った. 次に,イギリスの中央銀行において実際に社会実装されているKlemperer (2010)のProduct mix auctionについての更なる進展を目指して議論を行った.当該オークションでは「競争均衡」が重要なキーワードとなるが,競争均衡の存在条件に関する特徴付けを行っているBaldwin et al. (2020)やBalkanski and Paes Leme (2019)について精査を行ったうえで,予算制約を伴うようなエージェントの財の交換における競争均衡の存在条件について行列の単模性をもとに特徴づけている前者について特に重要性が高いと考え,離散凸解析やトロピカル幾何学を駆使して更なる理論面での拡張が可能かどうかについて議論を行った. 安定マッチング理論の応用を鑑み,その基礎理論の修得につとめた.特に,安定ルームメイト問題の解空間の性質とロバストネスについて指導学生(研究協力者)とともに研究し,その成果の一部を応用数理学会研究部会連合発表会で発表した. 協力ゲーム理論やオークション理論とも比較的相性のよいM#凸関数の新しい表現法に関する論文を発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
双方向市場のオークションは,困難な課題であり,1年目は,研究の突破口や方向性を見極めるためのサーベイや基礎理論の修得に注力したため,想定通りの進行である.
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Strategy for Future Research Activity |
双方向市場のオークションの1種である「交換市場」のオークションに注力することを考えている.交換市場とは,各エージェントが買い手・売り手の両方の役割を演じることができるという点で通常の双方向市場のオークションよりも一般化された問題設定である.オークション理論とマッチング理論は共にマーケットデザインに属する関連の深い学問領域であるが,マッチング理論における類似の問題設定である「ルームメイト問題」について研究代表者は一定の知識と研究ノウハウを有しており,これを活用する.交換市場についても双方向市場のオークションと同様に,基本的な要請を満たしながら効率的なメカニズムを設計することは困難な問題として知られているが,本研究課題においてその効率性の理論的な限界の解明を目指していく.複数種類の品物が出品される組合せ的な設定における既知の結果としてはBlumrosen and Dobzinski (2014)が存在するが,十分な研究がなされていないのが現状である.より広範な問題についてその理論的な限界の評価を与えることが一つの方向性として考えられる.
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Causes of Carryover |
コロナのため,想定していた出張がなくなったため.
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