2021 Fiscal Year Research-status Report
New frontiers in discontinuum mechanics model: coarse-grained DEM for powder systems
Project/Area Number |
21K19760
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
酒井 幹夫 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (00391342)
|
Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
|
Keywords | 離散要素法 / スケーリング則 / 粗視化 / 数値流体力学 / 粉体 / 不連続体 / データサイエンス / 粒子法 |
Outline of Annual Research Achievements |
不連続体である粉体は、食品、薬品、半導体、自動車部品、原子燃料をはじめ産業において広く利用されている。粉体の数値シミュレーションは、その支配方程式が確立していないため、個々の固体粒子の挙動をラグランジュ的手法により模擬するDiscrete Element Method(以下、DEMと記す)が世界標準として使用されている。DEMシミュレーションでは、最新の計算機であってもスプーン数杯分の粉砂糖の粒子数(小規模体系)しか計算を実行することができない。従って、DEMを応用できる体系は限られている。このようなDEMの計算粒子数に関する問題を解決するために、研究代表者は、DEM粗視化モデルと呼ばれるDEMのスケーリング則モデルを開発し、様々な大規模体系における固体粒子のマクロ挙動をDEM粗視化モデルにより模擬できることを示している。他方、これまでのDEM粗視化モデルの適用対象は乾燥した球形粒子である。DEM粗視化モデルは粉体が係わるモノづくりにおいて、将来、物理シミュレーションベースのデジタルツインの中核技術としての使用が期待されるため、普遍性の高いモデル化が望まれている。このような背景から、本研究では、DEM粗視化モデルの応用を広げるための研究に取り組む。本年度は、主に従来モデルの課題となっているDEM粗視化モデルのエネルギー消散の精緻化に関する研究に取り組んだ。粉体排出体系において、数値実験による妥当性確認を行い、エネルギー消散項を精緻化したDEM粗視化モデルが実際の粉体の挙動を精度良く再現できることを示した。さらに、DEM粗視化モデルの適用範囲に関する調査研究も行い、今後、DEM粗視化モデルを適用すべき体系を明らかにすることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、DEM粗視化モデルのエネルギー消散の精緻化に関する研究に取り組んだ。数値実験による妥当性確認を行い、エネルギー消散項を精緻化したDEM粗視化モデルが、粉体排出において実際の粉体の挙動を精度良く再現できることを示した。さらに、エネルギー消散項を精緻化したDEM粗視化モデルが、従来のものに比べて、粉体の流動特性を高精度に捉えられることも確認した。また、DEM粗視化モデルの産業応用に関する調査研究も行い、今後の研究対象をさらに明確化することもできた。以上の本年度の実施内容より、おおむね順調に研究が進展したと判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き、研究計画に基づいて研究を進めていく。大規模体系において、計算結果と実験結果が一致することを確認し、本研究で開発したDEM粗視化モデルの妥当線確認を行う。本研究で開発したDEM粗視化モデルを産業体系(例えば、気泡流動層、循環流動層、粉体輸送、粉末金型充填、混合機、造粒機)に応用するとともに、応用範囲を広げられるよう研究対象の調査も進めたい。本研究期間中に、DEM粗視化モデルの適用限界について考察したり、Verification & Validationの取り組む方法についても検討したりして、研究内容を充実させたい。
|