2021 Fiscal Year Research-status Report
Next-generation informatics connecting ultra-large-scale electronic structure calculations and flexible devices
Project/Area Number |
21K19773
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
星 健夫 鳥取大学, 工学研究科, 准教授 (80272384)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 貴敏 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子生命科学研究所, 主幹研究員 (70767970)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | 有機フレキシブルデバイス / 光電子デバイス / 大規模電子状態計算 / 非理想構造向けインフォマティクス / 記述子設計 / 有機太陽電池 / 有機ELディスプレー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終目的は,フレキシブル(薄くて柔らかく曲げたり巻いたりできる)デバイス材料設計に向け,次世代インフォマティクスの萌芽を築くことである.有機太陽電池・有機ELディスプレーなど,フレキシブルデバイスは次世代Internet-of-Things(IoT)の中核をなす.インフォマティクスの基礎は,非理想(非結晶)構造系での記述子設計である.本年度は以下を行った.(1)実験系研究者とも議論を行い,主な対象系として,界面系(有機太陽電池向けテスト物質例:ペンタセン・フラーレン系),ホスト・ゲスト分子系(有機ELディスプレー向けテスト物質例:Ir(ppy)3/CBP),の2種を設定した.(2)(1)にあげた2種対象について,大規模非理想構造(数万原子以上)生成の手法を確立した.具体的には,Pythonツールを使った初期構造作成,分子動力学法による構造最適化・有限温度計算,からなる手法である.(3)いくつかのテスト系に対しての記述子を提案した.例えば,波動関数の広がり尺度であるinverse participation ratioの多成分への拡張が有用であるとの知見を得た.また,ホスト・ゲスト系においては,ゲスト分子とホスト分子をつなぐ波動関数を,局所的化学結合エネルギーであるCrystal Orbital Hamiltonian Population(COHP)法で特徴づける記述子を提案した.(4) フレキシブル光電子デバイスを扱う理論手法として必須となる,励起状態理論(論文[1])・大行列系高速数値計算(学会発表[1])を,それぞれ開発した.上記成果の波及として,「富岳」スーパーコンピュータにおける産業利用課題(富岳産業課題hp220084「大規模量子化学計算と機械学習を用いた有機半導体材料分子の逆設計」)へと,発展した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は,フレキシブル(薄くて柔らかく曲げたり巻いたりできる)デバイス材料設計を目標とした,基礎研究から産業応用を目指す萌芽的研究である.非理想構造をキーワードとして立案され,対象となる系が具体化され,インフォマティクスの本質を担う記述子も提案された.このような記述子は,大規模電子状態計算を行なって初めてわかることで,有用性が極めて高い.さらに,予定にない成果としては,「富岳」スーパーコンピュータにおける産業利用課題に波及したことである.我々の方向性が,産業に向けて順調に歩み出していることがわかる.
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに得られた主な成果としては,記述子の提案がある.今後は,この記述子を用いたインフォマティクス研究(機械学習)を行なっていくことが中核的方策である.
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Causes of Carryover |
コロナウィルスの影響のため,約84万円が,2022年度使用額となった.当初は2021年度にタワー型計算機などを購入予定であったが,コロナウィルスのため自宅での研究活動を余儀なくされる可能性があった.そのため,コロナウィルス対応をしつつ,計画全体としてより高い成果が得られるように,計画実施の順番を一部入れ替え,大掛かりな計算機を必要としない理論整備・コード開発の一部を2021年度に前倒しし,データ生成を行うための計算は2022年度に移動した.2022年度に使用することとなった金額は,主にスーパーコンピュータ利用料金として活用し,データ生成に充てる.
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