2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K19781
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
船水 章大 東京大学, 定量生命科学研究所, 講師 (20724397)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 身体運動 / 深層学習 / マウス / 機械学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
1997年に中脳ドーパミン細胞による強化学習(報酬予測誤差)の実装が発見されて以来,脳の意思決定研究は,神経細胞と強化学習の関係を調べてきた.しかし,強化学習は,動物の行動選択を100%説明できるわけではない.本研究は,脳の意思決定モデルの再構築に向けて,深層学習で,マウスの行動選択を予測する.情報学的手法と,マウスの神経活動計測を組み合わせて,脳の意思決定の新因子同定を目指す. 本年度は,意思決定の新因子同定に向けて,マウスの行動選択の全容を計測する実験系を構築した.まず,頭部を固定したマウスをトレッドミル上に設置した.音の周波数に応じて左右のスパウトを舐め分ける行動課題時に,マウスの身体運動を計測するビデオカメラを4台設置した.左右に設置したカメラで,マウスのヒゲの動きや眼球を計測した.後方に設置したカメラで,マウスの体全体の形や後ろ脚,尻尾の動きを計測した.前方に設置したカメラで,マウスの舌の動きを計測した.ビデオカメラで計測した身体運動の解析では,まず,DeepLabCutで,マウスの身体の主要な28部位の軌跡を抽出した.次に,これらの軌跡に主成分分析を適用し,次元削減を行った.今後,次元削減した身体運動から,マウスの行動選択に寄与する因子を解析する.この解析には,線形回帰やサポートベクターマシンといった単純な教師あり学習を用いる.また,スパース性を持つラッソ回帰では,行動選択因子の時空間的な抽出が期待できる.さらに,深層学習で,ビデオ動画をそのまま入力に用いる解析も試みる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウスの身体運動を計測する実験系を構築した.また,DeepLabCutで,ビデオ動画を解析するパイプラインを構築した.今後,教師あり学習を用いることで,行動選択を司る因子を同定する.なお,研究代表者の他の研究テーマでは,脳の神経活動計測の実験系の構築が完了している.この実験系で,行動課題時の神経活動計測も,すぐに実施できる.
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Strategy for Future Research Activity |
次元削減した身体運動から,マウスの行動選択に寄与する因子を解析する.この解析には,単純な教師あり学習や,ラッソ回帰,深層学習を用いる.また,機械学習で同定した行動選択因子を表現する細胞を同定する.この実験に向けて,行動課題時のマウスの神経活動を計測する.
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Causes of Carryover |
本年度は,コロナ禍の影響や世界的な半導体不足により,設備備品の納期が長期化し,研究期間中に物品の購入が困難になった.マウスの行動解析は順調に進んでいるが,その他の部分で,研究計画の見直しが必要になったため. 次年度は,本年度に納入予定だった設備備品を揃える.行動課題時のマウスの神経活動計測を,計画通り実施する.
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Research Products
(3 results)