2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of liposome-typed molecular robots that will work in air and sea water
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21K19786
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
川野 竜司 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90401702)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小祝 敬一郎 東京海洋大学, 学術研究院, 助教 (10867617)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | 分子ロボット / リポソーム / マイクロ流体 / シャボン玉 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、自然環境中で作動可能な細胞サイズ分子ロボットのプロトタイプを開発することである。具体的には海水中と大気中で作動するリポソーム型およびシャボン玉型分子ロボットを開発する。分子ロボットは、分子でできた部品(例えば分子モーターなど)をアセンブルして任意の仕事を行う細胞サイズ(< 100 um)のロボットである。分子ロボットの骨格として主に高分子ゲルやリポソームが用いられている。リポソーム型分子ロボットは脂質二分子膜でできたカプセルで、脂質膜中に膜タンパク質や疎水性分子、内部に水溶性の様々な機能性分子を内包でき高度な機能の埋め込みが可能であることから、申請者はこのリポソーム型の分子ロボットの開発に取り組んでいる。これまでリポソームは、細胞・小胞体モデルやドラックデリバリーの担体として研究が進んでいたため、生理環境での使用以外ほとんど検討されていなかった。分子ロボットも同様に研究のほとんどが生体内や単純バッファー中での検討しか行われていないが、今後、実際にロボットとしての実用的な動作を考えると、自然環境中や大気のような脱水環境での使用が望まれると考えた。 本年度はPDMSを用いたマイクロ流路デバイス、およびガラスキャピラリ流路を用いた、均一サイズリポソームの作製を行い疑似海水中での安定性について検討を行った。またガラスキャピラリ流路による細胞サイズのシャボン玉作成についても検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マイクロ流体デバイスによるリポソーム作製は、均一サイズの大量リポソーム形成が可能、内液・脂質成分の制御が可能といった利点がある一方、マイクロ流路の作製に技術や設備が必要、脂質膜内にオイルが残留しやすいといった課題がある。そこで本年度は、簡便にリポソームを作製する方法として、フォトリソグラフィーを用いたPDMS流路、市販のガラスキャピラリを加工して作製するマイクロ流体デバイスによるリポソーム作製を行い、種々の検討を行った。その結果、PDMS流路と比較し、ガラスキャピラリ流路はデバイスの作製が簡便であったのに対し、作製できるリポソームのサイズが大きくなるという課題があった。具体的には本研究で使用したPDMS流路では直径10~30 umのリポソーム作製に適し、一方、ガラス流路では直径50~100 umのリポソームの作製に適していることが分かった。これは流路のサイズと強く相関していることも分かった。これらのデバイスで浸透圧等条件検討し作製したリポソームを疑似海水溶液中に添加したところ、通常のバッファー溶液よりは安定性が下がったものの、数日間その構造を維持できることが分かった。 細胞サイズシャボン玉作製に関しては、リポソーム作製で得られたガラスキャピラリデバイスの知見を利用し、内側空気、外側水溶液になるようマイクロ流を設計した。界面活性剤の種類、水相に添加する添加物、および流速など様々な検討を現在行っている。また流体力学シミュレーションでも条件検討を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の検討により、マイクロ流路により作製したリポソームがある程度疑似海水中で生存可能なことが分かった。今年度は、より安定性の向上を目指して、脂質の種類の検討、浸透圧のより精密な制御を行い、自然環境から採取した海水中でリポソーム内DNAコンピューティング反応を行うことを目指す。また細胞サイズのシャボン玉作製に関しては、今年度で得られた条件検討の結果を踏まえ、さらにシャボン液の組成、揮発性を下げる高分子添加物の検討や乾燥を防ぐためのケージを作製し、直径100 um以下のシャボン玉作製を試みる。
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Causes of Carryover |
国際的な物資不足により、備品試薬類の納入が遅れたため。次年度繰越額約13万円は試薬類の購入に充当する予定である。
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