2021 Fiscal Year Research-status Report
動的光伝播の自律協調撮影によるシーンの深層要素の選択的可視化
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21K19799
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
久保 尋之 千葉大学, 大学院工学研究院, 准教授 (90613951)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷田川 達也 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (50817484)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | イベントカメラ / アクティブステレオ法 / 光伝播計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,シーンに様々な方向から光を照射したときの反射光をカメラで捉えることによって,そのシーンにおける光の伝播経路や強度を示す情報を獲得する.更に,得られた情報をより詳細に解析することによって,シーンの構造や光学席性質を推定し,様々な分野への応用を目指す. 本年度は,イベントカメラとライン照明を用いて撮影したイベントの時間情報から,シーンに複数置かれた半透明なレイヤ状の被写体の位置情報を推定する方法を確立した.具体的には,カメラから被写体までの深度に応じて照明が当たる時刻が異なるように,ライン照明を高速に繰り返し動かしながらシーンに照射する.これを高い時間分解能で受光強度変化を記録可能なイベントカメラで観測することにより,イベントの発生時刻から照明座標系での照射位置を特定し,カメラ座標系での観測位置と対応付けることにより被写体の深度を推定することが可能である.さらに,深度の異なる複数のレイヤが同じ位置に重なっているような場合には,各レイヤ由来の周期的なイベント列の位相をそれぞれ推定することで,各レイヤへの照明の照射時刻を特定し,その結果として各レイヤの深度情報を独立して推定することが可能となった. さらに,レーザー走査方式のプロジェクタの照射時刻と,ローリングシャッタ方式のカメラを時間同期させた計測システムを発展させ,プロジェクタによって投影された映像に対してタッチ操作を実現するタッチスクリーン技術を開発した.本装置は物理的な接触センサや距離計測の専用センサなどが必要なく,映像を投影するプロジェクタに追加して安価なローリングシャッタカメラと同期回路がそれぞれ1台あれば実現できる.そのため,極めて安価に実現可能である点が特徴である.また,物理的にスクリーンにタッチしない,いわゆる「空中タッチスクリーン」も実現可能であるため,感染症対策としても有効であると考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
イベントカメラとライン照明を用いて撮影したイベントの時間情報から,シーンに複数置かれた半透明なレイヤ状の被写体の深度を推定する方法を確立した.本研究成果は情報処理学会CVIM研究会にて発表し,奨励賞を受賞した.以上のことから,「(2)概ね順調に進展している」と判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,イベントカメラとライン照明を用いてシーンに複数置かれた半透明なレイヤ状の被写体の位置情報を推定する方法を発展させ,より多層のシーンに対して動的な深度情報を安定的に推定できるような技術を開発する.また,プロジェクタとカメラの同期撮影技術を発展させて光伝播を効率的に計測することで,シーンのリライティングなどの技術開発に取り組む.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大の影響で旅費・人件費が執行できなかったため,次年度使用額が生じた.2022年度は感染状況を見極めながら慎重に旅費・人件費等の執行を行う予定である.
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Research Products
(10 results)