2021 Fiscal Year Research-status Report
微細藻類の変動光に対する光化学系と代謝のシステム解析
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21K19825
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
清水 浩 大阪大学, 情報科学研究科, 教授 (00226250)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸谷 吉博 大阪大学, 情報科学研究科, 准教授 (70582162)
二井手 哲平 大阪大学, 情報科学研究科, 助教 (20802705)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | シミュレーション / 代謝フラックス解析 / 変動光 |
Outline of Annual Research Achievements |
シアノバクテリアSynechocystis PCC 6803は光エネルギーを利用してCO2から直接有用物質を生産できるため理想的な細胞工場として、その工学利用が期待されている。しかし、変動光下では、連続光下と異なり成育の大きさが変化することが知られている。光合成生物では変動光下において高速に変化する光エネルギー供給と低速で変化するエネルギー利用のシステムが連結して安定に動作するシステムとしての仕組みが備わっていると考えられる。本研究では、異なる応答の速さが連結した光合成微生物の仕組みを明らかにすることで、様々な時間オーダーで動作するサブシステムを包含するシステムの動作原理を明らかにすることを目的とした。 本研究においては、Synechocystis PCC 6803を用いて、変動光下で培養を行うコンピューター制御システムを開発している。すなわち、LEDの光強度を様々な時間間隔で変動させるコンピューター制御光培養装置の開発を行っている。変動光や一定強度の定常光で培養し、基本的な増殖特性を得ている。また、定常状態や非定常状態を表現する数理モデルを開発することで、様々な光強度において複雑な光化学系の電子伝達経路がどのように電子を流し、NADPHやATPを生成するのか、代謝状態がどのように変化するのかについてシミュレーションを行う準備を行っている。さらに、実験的に定常光と振動光でどのような代謝状態を取るかを実験的に確認するため、光混合栄養条件において代謝状態を決定する13C代謝フラックス解析を行うプラットフォームを開発している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究においては、自然環境中で起こる振動光下において光合成生物であるシアノバクテリアSynechocystis PCC 6803が、時間応答の異なる光化学系と代謝系がどのように調節されて環境変動に適応しているのかを明らかにすることを目的としている。この目的を達成するために数理モデルによるシミュレーションと実験的な代謝活性、光合成活性の解析を統合するシステムバイオロジーの手法を開発しようとしている。まず、様々な時間間隔で光強度を変化させることが可能なコンピューター制御光培養装置を構築し、人為的に変化させた振動光下でのシアノバクテリアSynechocystis PCC 6803の増殖挙動を精密に解析することを可能とした。次に、定常状態や非定常状態を表現する数理モデルを開発することで、様々な光強度において複雑な光化学系の電子伝達経路がどのように電子を流し、NADPHやATPを生成するのか、代謝状態がどのように変化するのかについてシミュレーションを実施する準備を行っている。モデルの妥当性を評価するために、異なる光環境状態において代謝フラックス解析を実施する方法を開発し、実験データを収集している。13C標識された炭素源を取り込ませ、代謝物質中の標識割合を計測する方法を開発し、フラックスを決定する方法を開発している。これにより、光化学系と代謝が、どのように連動して光環境変化に応答するのかを明らかにしていくことが可能と考えており、研究は順調に進捗していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、開発されたシミュレーションシステム、実験システムを高度化し、より精密なデータの取得を目指す。数理モデルによるシミュレーション、13C-代謝解析による炭素中枢代謝解析を統合し、いままでに知られていないオーダーの異なる時間遅れを包含する光合成生命システムの安定性や適応性の仕組みを明らかにする。さらに、この研究を発展させ、外的物理要因が高速に変動するような環境にさらされた際に、時間遅れのオーダーが異なるサブシステムが連結する生命システムの適応的応答や頑強性についてのメカニズム解明に向けた理解につなげていきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
2021年度は培養実験に必要な試薬や器具が実験準備に時間がかかったたこともあり、一部購入を2022年度に繰り越した。また、また、新型コロナ感染症拡大防止の観点から学会が現地開催からオンライン開催となったため、旅費の執行が無かった。研究や成果発表をより加速するため、2022年度の代謝解析研究、学会参加などで使用する。
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Research Products
(5 results)