2022 Fiscal Year Annual Research Report
視線距離に応じて閲覧者に異なる表面イメージを知覚させる立体表現手法
Project/Area Number |
21K19830
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Research Institution | Sapporo City University |
Principal Investigator |
藤木 淳 札幌市立大学, デザイン学部, 教授 (10457418)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | 距離 / イメージ / 計算式 / 鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、前年度求めた視線距離と模様パターンの関係性の数式に基づき、立体構造物を実装した。その結果、立体構造物から設定した距離だけ離れた閲覧者に意図するイメージ像を提示可能であることを確認した。具体的に実装した立体構造物の全体のサイズは横672mm×高さ395mm×奥行き300mmであり、立体構造物の素材として、鏡はステンレスミラー、背面に透明のアクリル板、その他は黒色のアクリル板を用いた。本検証ではイメージを認識できる距離を1500mm、鏡の奥行きを300m、鏡の枚数を33枚、鏡の間隔を22mm、イメージを認識できる距離を1500mmに設定した。立体構造物の裏面に液晶ディスプレイを表示部が透明アクリル板と接するように設置し、閲覧者に提示したいイメージ画像を表示した。50mm、100mm、150mm、200mmだけ離れた位置から立体構造物を見た際、150mmの位置から見た様子が最も白く見える領域が少なく、もとのイメージ画像と近い状態になることが確認できる。このことから、本表現手法が有効である可能性が示されたと考える。一方で、表示領域の場所により白色が露わにでている箇所とそうでない場所がある。また、その場所の現れ方にはむらがあることは、液晶ディスプレイとの位置や表示したパターン模様の大きさ等の微妙な理想的な位置関係との誤差から生じまた、立体構造物の正面位置から横方向に移動した際に、見え方が大きく変化することを確認した。今後は、前後左右の見え方の関係性を数式で記述すると共に、この見え方の特性を活かした社会実装の在り方を検討したい。また、距離によって異なるイメージ像を提示することによる表現拡張の可能性を探ることが課題である。本研究成果は2023年開催予定の図学会にて発表予定である。
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