2022 Fiscal Year Annual Research Report
Lysosomal redox control via hepatic-brain crosstalk and its disruption by methylmercury
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21K19837
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
外山 喬士 東北大学, 薬学研究科, 講師 (50720918)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | セレノプロテインP / リソソーム / ApoER2 / 還元 / 超硫黄 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、セレノプロテインP (SeP) によるリソソーム活性上昇について、その機構解析を進めた。 まず、培養細胞 SHSY-5Y細胞に精製SePを添加するとリソソーム酸性度の増加が認められた。興味深いことにSeP受容体ApoER2を発現増加させた培養細胞においては、この肥大化リソソームが顕著に認められた。密度勾配遠心分画法によって、細胞内のSePを分画したところ、SePはApoER2とともにエンドソーム内で認められ、一部がリソソームに蓄積していることが示された。すなわちSePとApoER2が共同で、未成熟リソソーム・成熟リソソームに輸送されるとともに、酸性度の増加に関わることが示唆された。上記に関わる分子メカニズムとして、SePの還元活性が寄与していると考えた。in vitroでの検討からSePはGSHを基質としてジスルフィドを還元することができなかったが、今回新たに、システイン残基のチオールにイオウが連なる「超硫黄化」を還元できることを見出した。リソソーム内にはシステインプロテアーゼがあり、モデルとしてパパインを用いた実験をしたところ超硫黄化によって活性が消失するが、これがSePによってDTTを還元力に用いて回復することも見出した。近年、オートファジー誘導時など、リソソーム内に超硫黄が検出されることが報告されているが、その詳細は不明である。我々の研究から、リソソーム内超硫黄はその活性を抑制的に調節する因子であり、SePがその還元を担当することで、リソソーム活性調節に寄与していることが、今回新たに明らかとなった。また、メチル水銀はリソソームの酸性度にほとんど影響を与えなかったがSePはメチル水銀の毒性を低減することが示された。恐らく、SePはメチル水銀と結合することで、細胞内の動態と蓄積する箇所を大きく変え、これが毒性の変化につながったと考えられる。
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Research Products
(4 results)