2022 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ医薬品で培ったナノの視点が拓く環境問題ナノプラスチックの生態影響理解への挑戦
Project/Area Number |
21K19840
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山本 雅哉 東北大学, 工学研究科, 教授 (10332735)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田邉 匡生 芝浦工業大学, デザイン工学部, 教授 (10333840)
木村 剛 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 准教授 (10393216)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | ナノプラスチック / ナノ医薬品 / 腸管免疫チップ / 環境問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ナノ医薬品のナノサイズ特有の体内動態やその解析技術に基づくナノの視点を、環境問題ナノプラスチック研究に展開する探索的チャレンジに挑戦する。すなわち、ナノ医薬品による癌治療研究で積み重ねられてきた知見を、全く異なる研究分野である環境問題ナノプラスチック研究へと展開する斬新な発想に基づき、環境科学における新しい方向性の探索に挑戦する。この実現のため、潜在的共通点であるナノの視点を探索する。ナノプラスチックは、マイクロプラスチックと比べて極めて小さく、その濃縮や体内での観察が困難という問題点から、未開拓な研究対象である。さらに、ナノプラスチックが血管と脳との間にあるバリアを超えて魚の脳に蓄積することが報告され、マイクロプラスチックにはない、ナノサイズ特有の新たな問題が認識されつつある。本研究では、ナノ医薬品に対する最新の研究アプローチをナノプラスチックの解析へ展開するナノの視点の探索を行うため、研究項目①光分解反応制御によるナノプラスチックの定量的調製ならびに研究項目②体外腸管免疫チップを用いた組織内動態解析について検討する。これらを通じて、ナノ医薬品と環境科学という、これまでに接点のなかった学問分野を、ナノの視点という潜在的共通点で結びつける。2022年度は、PEに対するレーザーアブレーションによりナノプラスチックの生成を示唆する結果を得た。また、PPに対して促進酸化分解により延伸倍率によって形状やサイズが変化するマイクロプラスチックを作製することもできた。一方、腸上皮細胞であるCaco-2細胞を脱細胞化マトリックス内で培養することによりCaco-2を管腔状に立体培養する方法について検討した。また、炎症性サイトカインであるIL-1βを検出するために遺伝子改変した細胞を用いてナノ・マイクロプラスチックの炎症反応を高感度・低侵襲で検出できることがわかった。
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Research Products
(8 results)