2021 Fiscal Year Research-status Report
Overlooked process of land-ocean interactions: Quantitative evaluation on the impact of coastal landslide on marine ecosystems
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21K19854
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
仲岡 雅裕 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 教授 (90260520)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊佐田 智規 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 准教授 (80725359)
土井 一生 京都大学, 防災研究所, 助教 (00572976)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 陸海相互作用 / 海岸地すべり / 沿岸生態系 / 土砂流入 / 生態系モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
北海道東部沿岸域を対象に、海岸地すべりによる土砂供給が沿岸生態系に与える影響の評価を行う。この目的を達成するため、(1)広域(10 kmスケール) の海域における沿岸生態系の定期調査、(2)地すべり発生後の生態系の変化の集中的な観測、(3)地すべり調査定点における連続的な観測、(4)上記の結果を取り入れた流動・生態系動態統合モデリングを組み合わせた研究を行う。観測結果を取り入れたモデルを用いたシミュレーションにより、陸源物質の河川を介した影響と地すべりによる土砂供給の直接的影響の相対的重要性を明らかにする。本研究で展開する生態学分野と地質学分野の異分野協働研究は、防災と生態系・生物多様性保全という社会的なニーズの高い課題を統合的に扱うことを通じて、新たな学問分野の創設につながることが期待される。 初年度は、研究サイトの選定および研究方法の検討を進めた。研究サイトについては、厚岸湾内の仙鳳趾エリアに海岸地すべりの連続観測サイトを設けて、地すべり動態の観測を開始するとともに、バラサン岬~愛冠~アイニンカップのエリアにかけてもドローンによる定期観測サイトを設定して観測を開始した。ドローン撮影の手法についても検討を行い、海岸崖の周辺域を含む撮影エリアに対して異なる撮影角度で連続撮影をし、画像を合成することで海岸崖の変化および崖の下の透明度や藻類の繁茂状況を把握する方法を確定した。さらに、アイニンカップエリアにおいては、実際の海岸崖くずれに伴い変化した海底における海草類の分布の変化について観測を開始したところ、海底地形の変化に伴いオオアマモの分布が拡大するとともに種子繁殖にかかる形質の変化が生じていることも発見した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍に伴う移動制限のため、研究関係者の調査機会が減少するという不具合が生じたが、感染者が減少した時期における集中的な調査で、予備的な観測と調査方法の確定を進めており、次年度までに遅れを取り戻せる予定である。なお、崖崩れに伴うオオアマモの分布域の変化および形質変異は、当初の計画では想定していなかった地すべりの正の効果であり、この点も研究課題に追加して研究を進めることにより、成果がより多角的に得られることが期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度においては前年度確定した方法で海岸地すべりの連続観測および定期観測を続けるとともに、影響を受ける海域側の光量子、透明度、濁度、栄養塩濃度などの観測を本格的に着手する。また、昨年度の観測の結果、海岸侵食速度が非常に大きいことが明らかとなったことから、大きな海岸侵食量にも対応する超音波距離計を用いた新しい観測手法を考案し試行する。一方、開発中の流動・生態系モデルに地すべりに伴う土砂流入の効果を取り入れる方法を確立する。さらに、新たに研究項目に加えることになった崖崩れに伴う海底地形変化がアマモ場の変化およびオオアマモの生活史に与える影響に関する研究も本格的に開始する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍に伴い、野外調査の回数、期間、内容が変更となった。また一部観測項目については、当初予定していた方法では地すべりの動態を定量的に追跡できなかったため、手法の再検討が必要となり、次年度まで開発が継続することになった。以上のため、次年度使用額が生じた。繰り越し経費は、新しい観測手法の試行、および今年度実施しなかった野外調査の実施に利用する予定である。
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Research Products
(7 results)