2021 Fiscal Year Research-status Report
海洋性アナモックス細菌が実現する立地を選ばない閉鎖循環式陸上養殖システムの開発
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21K19866
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
金田一 智規 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 准教授 (10379901)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 海洋性アナモックス細菌 / 閉鎖循環式陸上養殖 / 窒素除去 |
Outline of Annual Research Achievements |
世界人口の増加により食料の安定確保と持続可能な食料生産が求められており、持続可能な養殖として海水の交換が不要な閉鎖循環式陸上養殖が注目されている。閉鎖循環式陸上養殖は、飼育水を循環利用するため立地を選ばない、飼育環境の人為的管理が可能等のメリットを有するが、飼育水の循環使用に必要な設備が多く、維持管理コストが普及の妨げとなっている。特に、アンモニアを酸化する硝化装置は普及しているが、硝化で生成した硝酸をN2ガスへ脱窒する装置は普及していない。本研究では、海洋性アナモックス細菌を閉鎖循環式陸上養殖の窒素除去法として導入し、立地を選ばず海水の交換頻度が極めて低い次世代型の閉鎖循環式陸上養殖システムの開発を目的とする。 閉鎖循環式陸上養殖の飼育水を処理するためには、海洋性アナモックス細菌のバイオマス確保が重要となるが、海洋性アナモックス細菌の培養条件は最適化されていない。そこで2021年度は、既報の培地成分として添加している微量金属元素に着目し、それらの種類および濃度を変えて培養を行い、海洋性アナモックス細菌の活性に及ぼす影響を検討した。まず人工海水として用いているシーライフ中に含まれる微量金属元素の濃度をICP-MSによって明らかにした。その後、シーライフ中の微量金属元素のみで海洋性アナモックス細菌の活性が低下するかどうかを検討した。その際、微量金属元素ができるだけ含まれない海水を作製するために高純度試薬を用いて海水を合成した実験系も構築し、シーライフに微量金属元素を添加した対照系と3つの実験系を比較した。その結果、いずれの実験系においても海洋性アナモックス細菌の活性に差は見られなかった。また、16S rRNA遺伝子に基づく細菌叢解析を行った結果、海洋性アナモックス細菌の構成比は変化しないことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
海洋性アナモックス細菌の大量培養方法を確立するための培地の最適化を図ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は海水成分以外に培地へ添加しているミネラル分の必要性について検討する。また、定量PCR法による海洋性アナモックス細菌の増殖量を把握することで、最適化された培地組成を増殖の観点からも評価する。さらに、実飼育水を用いたアナモックス活性試験および前処理方法(亜硝酸化プロセス)の検討についても実施する予定である。
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Causes of Carryover |
2021年度の実験については研究室で保有している備品を使用できたため、消耗品(人工海水)のみの使用と定量PCRのキャリブレーションのみを実施した。2022年度には定量PCRを用いた評価を行う予定であるため、人工海水に加えて定量PCR用の消耗品を購入する。
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