2023 Fiscal Year Research-status Report
木質由来バイオプラスチックの多岐機能性付与製造システム構築と評価
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21K19867
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
浅田 元子 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(生物資源産業学域), 教授 (10580954)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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Keywords | 機能性バイオプラスチック |
Outline of Annual Research Achievements |
植物性バイオマスは、最も豊富な天然有機化合物であり、食料と競合しないことから石油代替資源として注目されており、その主成分はセルロース、ヘミセルロースおよびリグニンである。このうち、セルロースとヘミセルロースはバイオ燃料やセルロースナノファイバーの製造に利用されており、研究代表者も昨年度までに高活性水蒸気爆砕によって植物性バイオマスを効率的に分離した後、水抽出、アセトン抽出により各画分(水抽出画分、アセトン抽出画分、水・アセトン抽出残渣画分)に分離し、得られた水・アセトン抽出残渣画分を原料としたセルロースナノファイバーの製造と熱・機械的特性および樹脂への補強効果を明らかにした。本年度はアセトン抽出画分(低分子量リグニン)を原料としたバイオベース型の硬化エポキシ樹脂の合成と機能性向上について検討した。アセトン可溶性リグニンは水酸基当量約140 g/eqiv.、数平均分子量約800、重量平均分子量約2,700であり、エポキシ樹脂の原料だけでなく、エポキシ樹脂の硬化剤としても利用可能であった。また、フェノール性水酸基量を増大させるためにアセトン可溶性リグニンにp-クレゾールを添加することで、硬化エポキシ樹脂の熱的・機械的特性を向上することができた。このことからアセトン可溶性リグニンを化石由来の代替原料としてある割合で使用することにより、高い熱・機械的特性が要求される電子基板材料分野でも使用可能な硬化エポキシ樹脂の原料と成り得ることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
セルロースナノファイバーの樹脂に対する補強効果は評価できたが、リグノセルロースナノファイバーの樹脂に対する補強効果の検討は未達のため。
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Strategy for Future Research Activity |
種々のリグニン含有量のリグノセルロースナノファイバーを作製し、それらの熱・機械的特性を評価する。さらに、ポリ乳酸樹脂補強効果に与えるリグニン含有量の影響を究明するとともに耐熱性や強度に優れたコンポジット作製のための最適条件を決定する予定である。
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Causes of Carryover |
セルロースナノファイバーの樹脂に対する補強効果は評価できたが、リグノセルロースナノファイバーの樹脂に対する補強効果の検討を時間の関係上遂行することができなかった。種々のリグニン含有量のリグニンナノファイバーを作製し、リグニン含有量の樹脂補強効果に与える影響を究明するとともに最適条件を決定するために次年度使用額を用いる予定である。
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