2021 Fiscal Year Research-status Report
多成分スラリーにおけるケミカルフリーな新規選択凝集・分離技術の開発
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21K19873
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
森 隆昌 法政大学, 生命科学部, 教授 (20345929)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
椿 淳一郎 公益財団法人名古屋産業科学研究所, 研究部, 上席研究員 (50109295)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 直流電場 / 選択凝集 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では多成分の粒子が懸濁している水系スラリーから、薬剤を添加することなく、目的とする成分の粒子を高効率・高純度で回収できる手法を開発することを目的とする。今年度は、まず、多成分スラリーから特定成分のみを選択的に凝集させて分離する装置の試作を行った。試作機が順調に動作することを確認することができた。また、回収したスラリー中に含まれる粒子成分を特定し、選択的な凝集・分離ができたのかどうか、その効率を定量的に表す手法を確立することができた。 さらに、どのような粒子の組み合わせであれば選択的な凝集・分離が可能なのか、本技術の汎用性を確認するために、様々な粒子(単成分)で粒子凝集効果を測定した。その結果、粒子種によって同じ粒子表面電位の条件で比較しても粒子凝集効果が異なることが確認できた。また粒子凝集効果だけでなく、凝集体の強度にも違いがあることが示唆された。特に、電場印加時にはミクロンオーダーまで凝集していた粒子が、電場印加を止めた瞬間にサブミクロン程度にほぐれていると考えられるケースも見られた。従って、電場を印加し続けて粒子を選択的に凝集・分離するというコンセプトだけではなく、一端全ての粒子を凝集させて高効率に沈降分離した後に、電場印加を止めることで、ほぐれやすい凝集体のみがほぐれると、結果的に、特定成分のみを凝集させた状態にすることができるため、これを分離プロセスに組み込めるのではないかと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多成分スラリーを選択的に凝集・分離する装置の試作を終えることができた。スラリー中の特定成分の濃縮度合いを定量化する手法も確立できた。よって、今後の研究で必要となる基本的な装置・分析手法を1年目で確立できたことになり、研究計画は概ね順調に実施できていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、今年度試作した粒子選択凝集分離装置、及び、確立したスラリー中の特定成分の濃縮度合いを定量化する手法を用いて、どのような粒子の組み合わせであれば選択的な分離が可能なのかを調査していく。沈降速度が同等で、現状の比重差分離では分かれることがない2成分粒子を電場印加条件を調整しながら、選択的に凝集、分離できるかを調査する。粒子は粒子密度に応じて粒子径を変えることで沈降速度が等しい2成分を用意する。このとき、粒子の表面電位についても変化させる。 さらに本実験で使用した粒子については、単成分でも電場印加実験を行い、電場下での基本的な挙動を把握する。2成分混合系で単成分での挙動はどのように変化するのかを考察することで、電場下での粒子の振る舞いについて体系的に整理する。
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