2021 Fiscal Year Research-status Report
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21K19881
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
山城 義人 筑波大学, 生存ダイナミクス研究センター, 准教授 (70751923)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 英一朗 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (70803659)
吉野 大輔 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80624816)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | 血管 / オルガノイド / 弾性線維 / メカニカルストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
生体恒常性維持の理解において、生きたままの立体組織を観察することは、不可欠な要素である。組織構築に用いられるスフェロイドやオルガノイドは細胞集合体ではあるものの、その収縮や弾性といった機能は欠落しているのが現状である。そこで、独自に開発した機能性素材(高弾性線維形成株)を用いて、スフェロイドやオルガノイド作製時の基質とし、弾性能を有した血管オルガノイドを作製する事が本研究の目的である。機能性オルガノイドは上皮器官と深部の器官を繋ぎ、「より高度な組織構築」を可能とする。 これまでに、血管病態発症に関与する細胞内シグナル伝達経路が、弾性線維の質の低下と平滑筋細胞のメカニカルストレス応答に起因する事を明らかにしてきた(Yamashiro et al. Circ. Res., 2018、Yamashiro et al. PNAS, 2020)。その解析を通じて、血管弾性線維をin vitroで評価する系を確立し、弾性線維形成能が極めて高いラット血管平滑筋細胞の樹立に成功した。加えて、メカニカルストレス応答性の細胞外マトリクスThrombospondin-1 (Thbs1) と転写調節因子Yes-associated protein (YAP)の下流で、血管壁中膜と外膜の境界に局在する細胞群が、細胞外マトリクスを過剰に分泌するメカニカルストレス応答細胞である事を発見している。これは、組織不均一性の一端であり、細胞外マトリクスを供給する細胞群が存在する事を意味している。つまり、バルクの細胞を用いてフィーダー細胞とするよりも、このマトリクス供給細胞を単離し利用する事が、オルガノイド作製の再現性の向上と質の安定化に不可欠である。血管弾性能を有するオルガノイドを作成し、より生体に近い応答をin vitroで解析するシステムを構築中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度はメカニカルストレス応答因子の標的を指標に、血管壁から弾性線維高形成能細胞株を樹立する実験システムの構築を行った。Thbs1-YAPの標的分子の探索に時間を要しており、血管壁内での局在や、弾性線維形成能を評価する上で、十分な結果を得ることが出来ていない。
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Strategy for Future Research Activity |
横行大動脈結紮後の血管壁から、Thbs1-YAPの標的遺伝子を絞り出し、FACSを用いて細胞を単離する。ターゲットとする分子候補を複数同定し、弾性線維形成能を評価する。また、ヒト多能性幹細胞からの血管分化条件も検討し、研究計画を進める予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響で物品の流通が遅延しているため、予定していた機器の納入が年度内に実施できなかった。そのため、当該の機器購入費を次年度使用として計上する予定でいる。
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