2021 Fiscal Year Research-status Report
自己乳化現象の制御による「超低密度」多孔質シート・ファイバー作製に向けた挑戦
Project/Area Number |
21K19892
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
村上 義彦 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00339748)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | 多孔質 / シート / エマルション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究代表者が発見した「両親媒性高分子(高分子乳化剤)が誘起する自己乳化現象」を巧みに応用することによって、「自己乳化のみ」(=機械的な乳化操作は無し)で世界最小値の「超低密度」多孔質シート・ファイバーを作製する低コスト・低エネルギーの新技術の確立に挑戦した。今年度は、両親媒性高分子が誘起する自己乳化現象やエマルションの形態に影響を及ぼす因子を詳細に評価し、自己乳化現象の発生原理を解明することを目指した。モノマー濃度比などを変化することによって、さまざまな組成の両親媒性高分子(ポリエチレングリコール (PEG)-b-ポリアミノ酸)を合成した。両親媒性高分子およびシートやファイバー形成用の疎水性高分子を有機溶媒に溶解し、水と接触することによって、有機溶媒中に自己乳化w/oエマルション(water-in-oil。水滴が油に分散)を形成した。得られたエマルションの粒子径を動的光散乱装置によって評価し、エマルション中の水分量をカールフィッシャー水分量計で評価することによって、エマルションの粒子数を算出した。両親媒性高分子の種類や組成、有機溶媒の種類、水/有機溶媒体積比などの因子が、両親媒性高分子の界面吸着挙動や界面張力の変化、自己乳化現象の有無、粒子径、粒子数、自己乳化によって生じたコロイド粒子の表面電荷状態、粒子間に生じる斥力ポテンシャルや引力ポテンシャル等に及ぼす影響を詳細に解析することによって、両親媒性高分子に由来する自己乳化現象の発生原理の解明につながる結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に進展している。 高分子乳化剤によって生じる自己乳化現象の制御により多孔質シート・ファイバーを開発するために必要となる、さまざまな重要な操作因子を明らかにすることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の成果に基づき、多孔質構造を有する新規材料の作製技術の確立を目指す予定である。
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Causes of Carryover |
合成用の試薬を安価に入手することができた、等の理由のため差額が生じた。次年度はこの差額を効率的に利用することによって、当初の予定よりも高精度に流量をコントロール可能な送液システムを構築することにより、自己乳化をより精密に制御するための方法論の構築に貢献できる成果を目指す予定である。
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