2021 Fiscal Year Research-status Report
Realization of exhaustive mathematical analysis of micro-anatomical structure for micro computational anatomy
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21K19898
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
森 健策 名古屋大学, 情報学研究科, 教授 (10293664)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小田 昌宏 名古屋大学, 情報連携推進本部, 准教授 (30554810)
中村 彰太 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (20612849)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 微細構造解析 / マイクロ計算解剖 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではマイクロ解剖学創成に向けた網羅的解剖構造解析のための画像認識技術の開発を行う。マイクロ解剖構造認識において重要となる解剖構造を明らかにすることのできる画像認識技術の開発を行う。今後は、微細血管・微細気管支といった10μm程度の微細な解剖構造(マイクロ解剖構造)の認識が医用画像処理では重要となる。このような画像処理技術は、機械学習による単なる画像認識のみで解決できるものではなくトポロジー解析など数多くの数理的な基盤が必要となる。複雑な接続関係を持つ血管や細気管支などの微細解剖構造をコンピュータが自動認識しトポロジーなども含めた数理的な解析ができる技術開発を目指すものであり、画像解析と離散的な数理構造解析が融合した挑戦的でありかつ探索的な研究である。 今年度は(1) 高精度マイクロCT画像データベース構築、(2) 微細脈管構造情報抽出手法開発、(3) 微細膜構造情報抽出手法開発を実施した。(1)では肺がん切除標本のマイクロCT画像を行い、腫瘍領域および正常領域を含む3DマイクロCT画像からなる大規模なデータベースを構築した。(2)ではマイクロCT画像から脈管構造を自動抽出する手法を実現した。深層学習ベース手法や局所的な濃淡構造解析を用いた手法により自動抽出し、3次元的な結果を得た。(3)では(2)と同様に画像解析を行い、3次元的な膜構造解析を行った。これらにより画像データベース構築と微細構造解析の基礎的手法確立を達成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
マイクロ解剖学創成に向けた網羅的解剖構造解析のための画像認識技術の開発を目指し、(1) 高精度マイクロCT画像データベース構築、(2) 微細脈管構造情報抽出手法開発、(3) 微細膜構造情報抽出手法開発の3項目を実施した。 (1) 高精度マイクロCT画像データベース構築:名古屋大学呼吸器外科で伸展固定された肺がん切除標本を高精細マイクロCT装置により3次元画像として撮像した。腫瘍の存在する例を含む多数の標本を使用し、今後の画像解析のパターンを考慮して様々な撮影条件でのマイクロCT画像撮影を行った。 (2) 微細脈管構造情報抽出手法開発:微細解剖構造は疾患発生などの早期発見や発生過程観察に有用である。今回はマイクロCT画像から微細な血管や気管支をセグメンテーションする手法を開発した。深層学習を用いた方法を検討するとともに、局所的な濃淡構造を強調するフィルタを用いた処理を使用した。フィルタ強調結果に対して後処理などを行うことで、微細な脈管構造を選択的に強調することが可能であった。 (3) 微細膜構造情報抽出手法開発:(2)と同様に膜構造も疾患発生の解明などに有用である。ここでも局所的な濃淡構造強調フィルタを用いて、マイクロCT画像からの膜構造の選択的な強調を実現した。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、(1) 微細構造分離手法の開発、(2) 病変マイクロ構造解析手法の開発を行う。 (1) 微細構造分離手法の開発:マイクロ解剖構造の特徴として、脈管構造、膜構造などの各構造物が複雑に絡み合うことが挙げられる。臓器の形やその接続関係のみが注目されるマクロ解剖構造とは異なる。これらの微細構造を分離する手法を実現する。 (2) 病変マイクロ構造解析手法の開発:がんに対象を絞り、そのミクロ構造をマイクロCT画像から抽出する画像処理手法を開発する。構造的な特徴とテクスチャ(画像上で観察される模様パターン)双方を組み合わせる手法を開発する。
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Causes of Carryover |
2021年度はマイクロ解剖構造解析用計算サーバとしてワークステーション、データ格納装置としてRAID型ストレージの導入を予定していた。しかしマイクロCTで撮影した画像データが想定より少なかったため、より安価なコンピュータとストレージを使用して研究遂行が可能であった。そのため未使用額が生じた。 2022年度の研究では画像蓄積が進み、より高速なワークステーションと大容量のストレージが必要となる。次年度使用額を用いてこれらを導入して研究推進を図る。
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Research Products
(10 results)