2021 Fiscal Year Research-status Report
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21K19901
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
鳴瀧 彩絵 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (10508203)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 倫太郎 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (10794125)
尾上 順 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (50241245)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | タンパク質 / ナノファイバー / 導電性 / 分子集合体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、生体(細胞)に接続可能で、導電性を有し、かつ伸縮可能なタンパク質ナノファイバーを創製することを目的とする。研究代表者はこれまで、水中、生体温度(37℃)への昇温でナノファイバー化する人工タンパク質である組換エラスチンを開発してきた。このタンパク質はすでに伸縮性と細胞接着性を有しているため、本研究では、ファイバー形成能を保ちつつ、導電性を付与するような配列変換を行う。 2021年度は、超高真空クライオ四探針電気伝導測定装置で従来の組換エラスチンナノファイバーの電気伝導特性を評価し、このタンパク質が絶縁体であることを確認した。さらに、ナノファイバー分散液の小角X線散乱測定を行い、ナノファイバーが電子密度の高いコア領域と高分子コロナ鎖からなるコア-シース構造を持つことを初めて明らかにした。プロトン共役電子移動を発現し導電性を持つ組換エラスチンの作製を目指し、従来の組換エラスチンのフェニルアラニン残基をチロシン残基に配列変換した新規誘導体を作製した。円二色性スペクトル測定と透過型電子顕微鏡観察により、この誘導体がナノファイバー形成能を保持していることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた研究計画を滞りなく遂行することができた。広角X線散乱測定も実施し、ファイバーがβ-sheet構造を持つことを確認できた。ただし、ファイバーを基板上で配向させることが難しく、β-sheet構造の向きまでは確認できなかったので、次年度も引き続きファイバーの配向と広角X線散乱測定に取り組む。
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Strategy for Future Research Activity |
フェニルアラニン残基をチロシン残基に配列変換した組換エラスチン誘導体の電気伝導特性を評価する。導電性が期待通りに向上しない場合には、遷移金属イオンの配位能にすぐれるオリゴヒスチジン部位へ金属イオンを導入し、レドックス反応を介した積極的な導電性の付与を試みる。また、ナノファイバーを基板上で配向させ、β-sheet構造の向きに関する知見を得る。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由:消耗品費の支出が当初予測よりも若干少なかったため 使用計画:研究の遂行に必要な消耗品費を購入
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