2022 Fiscal Year Research-status Report
ES細胞の機能強化とその利用による人工多能性幹細胞の調製
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21K19905
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川本 卓男 京都大学, 環境安全保健機構, 教授 (10231276)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀江 正信 京都大学, 環境安全保健機構, 助教 (60727014)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | ES細胞 / 人工多能性幹細胞 / 機能強化 / 細胞融合 |
Outline of Annual Research Achievements |
マウスES細胞の機能を強化するために、体細胞を初期化して人工多能性幹細胞(iPS細胞)樹立するために用いられる初期化4因子(Oct3/4, Sox2, Klf4, L-myc)を、レトロウィルスベクターを用いて、マウスES細胞(129Sv株)に導入した。 感染したマウスES細胞の増殖能およびモルフォロジー、未分化マーカー遺伝子(Nanog)の発現状況を、元のES細胞と比較したところ、大きな変化は変化は見られなかった。 また、マウスES細胞の機能を強化する方法として、細胞融合に着目して、まず、手始めに、マウスES細胞とマウス胎児線維芽細胞(MEF細胞)の細胞融合を試みてみた。交流(周波数:1 MHz、電圧:30 V)を20秒間流し、直流パルス(電圧:350 V、パルス間隔:30 μ秒)を3回かけてみたところ、交流によって、パールチェーンは形成できているようだったが、うまく細胞を融合することはできなかった。今後、さらなる条件検討が必要である。 併せて、ES細胞の脱核を試みるために、マウスES細胞懸濁液にサイトカラシンBを添加し、Ficollを用いて濃度勾配遠心を試みた。サイトカラシンBの濃度として、1、5、10、25、40 μg/mlを用意し、Ficollの濃度濃度勾配は30、25、20、15、10 %の濃度を用いて作成したが、残念ながら、遠心機器トラブルによって実験を行うことができなくなった。修理に多額の費用が掛かるため、遠心分離による方法は、現在、実施できない状況にある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マウスES細胞の機能増強という挑戦的コンセプトを確認するために、初期化因子を導入したものの期待したような結果とならなかった。 また、細胞の脱核も、使用機器が故障してしまい、修理に多額の費用が掛かるため、遠心分離による方法は、現在、行うことができない状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
ES細胞の核を入れ替えるというコンセプト自体の新規性は間違い無いものの、4因子の導入では未分化マーカー発現の増強は確認できなかった。 未分化マーカー遺伝子発現の増強が「初期化能力の強化」には必ずしも繋がらない可能性もあるが、ES細胞の分化能などの機能に与える影響は興味深いと考えている。 今後は申請書に記載した計画に基づき、4因子を導入したマウスES細胞同士を融合し、より多くの細胞体を得る試みを続けていく。 さらに、そのマウスES細胞の脱核にも引き続き取り組んでいく予定である。
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Causes of Carryover |
世界的なコロナ禍の影響により、この研究課題の実施者となる予定であった留学生が、計画初年度中に入国できなかった。そのため、研究の実施に遅れが生じた。 今後は、申請書において、2年次に予定されていた計画に準じて研究を進めるために必要な経費として使用していく予定である。
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