2022 Fiscal Year Research-status Report
特発性大腿骨頭壊死症に対するMuse細胞を用いた革新的治療法の開発
Project/Area Number |
21K19924
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
山田 宏 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (70275361)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 悌志 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (20838320)
南方 邦彦 和歌山県立医科大学, 医学部, 学内助教 (50838307)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | ステロイド性大腿骨頭壊死 / 動物モデル / Muse細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
ステロイド性大腿骨頭壊死動物モデルの作成は、ラットに炎症状態の誘因となるToll-like receptor 4のリガンドであるLipopolysaccaride (LPS)とMethylprednisolone (MPSL)を投与することで行われた。ラット種や週齢数を変更して実験を継続したが、いずれも一定数で大腿骨頭の骨化障害がみられた。大腿骨頭壊死動物モデルの安定した供給の阻害因子となっているラット骨化障害への効果的な対策は現在のところ見つかっていない。骨化障害を認めないラットでは、大腿骨頭壊死の発生を認めた。 動物モデルの作成と並行して、Muse細胞の単離手技の習得も行った。Lonza社より骨髄由来間葉系幹細胞を購入し、low glucose DMEM、Human FGF2、fetal bovine serumを用いて培養した。培養した骨髄由来間葉系幹細胞を、トリプシンで処理し、Muse細胞の膜表面に特異的に存在する糖蛋白のSSEA-3を一次抗体で標識し、次に2次抗体としてFITCで標識した。標識した間葉系幹細胞を、フローサイトメトリーを用いて、FITC強度でMuse細胞と非Muse細胞に分離した。分離したMuse細胞を限界希釈し、poly-HEMAコート処理をしたDishに播種、培養し、クラスターの出現を確認した。 また、先行実験では、IVIS imaging systemを使用し、Akaluc遺伝子を導入したMuse細胞の生体内動態を観察することに成功した。さらに、ラットの大腿骨を透明化することに成功し、ライトシート顕微鏡で撮影することで、標識されたMuse細胞の大腿骨頭内での分布が明らかになる可能が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
骨髄由来間葉系幹細胞の培養とMuse細胞の分離手技は確立している。また、IVIS imaging systemや骨透明化・ライトシート顕微鏡での観察といった技術を利用すれば、大腿骨頭壊死モデルに静脈内投与されたMuse細胞が、大腿骨頭内にどのように分布するか確認できる可能性があり、特発性大腿骨頭壊死症に対するMuse細胞治療の確立に有益な結果が得られると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
使用動物の家兎への変更や、ステロイドの投与に大腿骨頭栄養血管焼灼等の外科的処置を加えることで(Kuroda Y. J Bone Miner Metab 2010) 、安定した大腿骨頭壊死動物モデルが供給できるようになり、Muse細胞の投与へと発展させられるものと考える。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症対策による臨床業務が多忙を極め、動物実験を中断・延期せざる時期が度重なったため。
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