2021 Fiscal Year Research-status Report
新溶媒としての液化ガスを利用した生分解性ナノ薄膜スプレー法の確立と医用展開
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21K19928
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
岡村 陽介 東海大学, 工学部, 教授 (40365408)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
畑中 朋美 城西大学, 薬学部, 教授 (10198749)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 生分解性高分子 / 液化ガス |
Outline of Annual Research Achievements |
生分解性高分子は、その名の通り生体内で加水分解・吸収される高分子である。医療分野では、この分解特性を利用した骨接合材や縫合糸等に臨床応用されている。近年、マイクロプラスチックによる環境負荷の懸念が高まり、環境に優しい高分子としても再注目されている。生分解性高分子は熱可塑性を有するため、一般的に溶融成形でフィルムや繊維等に加工される。有機溶媒にも可溶であるが、一部の低極性溶媒にしか溶解しない。本研究では、液化ガスを生分解性高分子の新溶媒とする発想を実現し、一吹きで標的患部をラッピングするナノ薄膜スプレー法を確立、医用展開を図る。従来の溶融工程や一般有機溶媒を使用せず、液化ガスを瞬時に気化させて大面積に薄膜化させる技術である。 液化ガスに溶解し得る生分解性高分子を見出した。それらを耐圧管に充填して噴射剤とし、ガラス基板(モデル基材)に噴射したところ、わずか数秒の間に基板全体に薄膜が形成されていた。この時、薄膜の厚みは噴射時間に比例することを確認した。また、基板との噴射距離も均質に成膜するための重要なパラメータであることを実証した。さらに、薬剤等の低分子成分を添加すると薄膜の透明性が向上する組み合わせが存在することも明らかにした。現在、界面密着性があり均質にナノ薄膜が形成するための組み合わせを検証している。また、医用展開に向けたin vivo評価系を立ち上げており、ナノ薄膜スプレーの機能評価に移行する計画にある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、液化ガスに溶解し得る生分解性高分子を見出した。それらを耐圧管に充填して噴射剤としてスプレー塗膜を形成できる手法を確立した。したがって、本年度の研究目標は計画通りに達成され、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
界面密着性があり均質にナノ薄膜が形成するための噴射剤組成の最適化を行う。また、医用展開に向けたin vivo評価系を立ち上げて、ナノ薄膜スプレーの機能評価に移行する計画にある。
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Causes of Carryover |
消耗品類の価格変動のため、当初想定していた使用予定額と差が生じた。この差額は、次年度分に請求した助成金と合わせて消耗品として使用する計画である。
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