2023 Fiscal Year Annual Research Report
新溶媒としての液化ガスを利用した生分解性ナノ薄膜スプレー法の確立と医用展開
Project/Area Number |
21K19928
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
岡村 陽介 東海大学, マイクロ・ナノ研究開発センター, 教授 (40365408)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
畑中 朋美 城西大学, 薬学部, 教授 (10198749)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 生分解性高分子 / 液化ガス / 紫外線吸収剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
生分解性高分子は熱可塑性を有するため、一般的に溶融成形でフィルムや繊維等に加工される。有機溶媒にも可溶であるが、一部の低極性溶媒にしか溶解しない。本研究では、液化ガスを生分解性高分子の新溶媒とする発想を実現し、一吹きで標的患部をラッピングする薄膜スプレー法を確立、医用展開を図ることを目的とした。本法は従来の溶融工程や一般有機溶媒を使用せず、液化ガスを瞬時に気化させて大面積に薄膜化できる技術として期待できる。 初年度は、液化ガスに溶解し得る生分解性高分子を見出し、それらを耐圧管に充填した噴射剤(生分解性薄膜スプレー)の調製法を確立した。次年度は、噴射して形成される生分解性薄膜の透明性を向上すべく鋭意検討を行った。各種添加剤(界面活性剤・可塑剤)を加えた噴射剤を調製して肌モデル基材に噴射したところ、薄膜の透明性が向上する組合せを見出した。この組合せの薄膜を電顕観察したところ、薄膜の表面が平滑になっており、光の乱反射が抑制され透明性が向上したものと判断した。この時、添加剤の至適濃度を決定すると共に、紫外線吸収剤も噴射剤に溶解させることにも成功した。また、生分解性薄膜スプレーの医用応用として、色素性乾皮症モデルマウスを用いた紫外線防御能に関する評価系を立ち上げた。このマウスに紫外線を照射すると顕著に皮膚の炎症が起こることを確認した。最終年度では、生分解性薄膜スプレーの医用応用を見据え、機能評価を行った。実際、上述したモデルマウスに生分解性薄膜スプレーを施したところ、未噴射群と比較して皮膚炎症反応(皮膚水分蒸散能の測定、HE染色による組織切片像観察にて判定)を有意に抑制することを実証した。
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