2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K19931
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
岩崎 泰彦 関西大学, 化学生命工学部, 教授 (90280990)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遊佐 真一 兵庫県立大学, 工学研究科, 准教授 (00301432)
平賀 徹 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (70322170)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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Keywords | 細胞表面改質 / マクロファージ / 帰巣性 / ナノ粒子 / 薬物輸送 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,マクロファージを薬剤担体として利用し,腫瘍組織に対する高選択的な薬剤輸システムを構築することを目的として企画された.21年度はナノ粒子をマクロファージに固定化するための細胞表面の機能化とナノ粒子の調製について検討した。マクロファージの表面改質については従来から報告している糖代謝を利用した手法を採用しているが,細胞表面修飾による細胞への影響を最小にするために,新たなアミノ糖の合成を試みた.具体的には,脂溶性を高め,細胞への取り込み効率を著しく高めたものや,より温和な条件で化学修飾を可能にする官能基を担持させたN-アセチルマンノサミン誘導体の合成に成功した.新たに合成された誘導体はいずれも白色個体として得られ,NMR解析や質量分析により構造を確認した.新たに合成した類縁体は,これまで使用した垂涎体に比べ100~1000倍の効率で糖鎖改変できることも明らかにした.一方,ナノ粒子の調製については,細胞表面に誘導する非天然の官能基と自発的かつ生体直交的に反応するナノ粒子の作成を試みた.まず,原始移動ラジカル重合をはじめとるすリビングラジカル重合により,末端に官能基を導入した親水性ブロックと疎水性ブロックからなる種々のコポリマーを合成した.続いて,得られたコポリマーを分散安定剤として利用し, ナノ粒子の調製を行った.約100ナノメートルの粒径を有するナノ粒子を獲得することができ,また,調製したナノ粒子はコアに非水溶性の生分解性ポリマーを有するため,同粒子から脂溶性薬剤の徐放が可能になると考えている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
21年度において細胞表面の糖鎖改変に利用できる新たに3種類のN-アセチルマンノサミン誘導体を合成することができた.これにより表面修飾による細胞へのダメージを確実に低減することができる.細胞表面に修飾するナノ粒子の調製についても予定通り進捗している。リビングラジカル重合を駆使し,保護剤として機能するブロックポリマーの調製および溶媒留去法により直径約100ナノメートルの粒子の作成に成功した.
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Strategy for Future Research Activity |
新たに合成したN-アセチルマンノサミン誘導体を利用し,温和な条件でマクロファージの表面糖鎖を改変する.サイトカインの分泌量を測定し,最適な条件を見出す.続いて,マクロファージのj表面に誘導した官能基を介してナノ粒子を固定化する.ナノ粒子の大きさ,化学組成,保護剤の分子量などがマクロファージとの相互作用に与える影響を詳細に調査し,ナノ粒子が少なくとも10時間程度マクロファージの表面に維持されるよう粒子形状の最適化を図る.その後,ナノ粒子を担持したマクロファージのがん細胞および腫瘍組織への帰巣性について,in vitroおよびin vivoでそれぞれ評価する.
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Causes of Carryover |
研究計画時に研究分担者が想定していた消耗品執行額より若干低くなったが、計画通り研究を遂行できている。2022年度は生物学的評価を拡充することを想定しており、2021年度の未執行額については研究分担者が2022年度に使用する。
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Research Products
(5 results)