2022 Fiscal Year Research-status Report
In situ precision synthesis of tumor microenvironmentally responsive anticancer drug
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21K19937
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
王 秀鵬 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 上級主任研究員 (70598789)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大矢根 綾子 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 研究グループ長 (50356672)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | 抗がん剤 / in situ合成 / ナノ粒子 / 銅 / メソポーラスシリカ / 薬物送達 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度の結果に基づき選定された組成・サイズを制御した薬物前駆体候補材料(銅担持メソポーラスシリカナノ粒子)の体内外評価が引き続き行われた。酢酸緩衝液中で、銅担持メソポーラスシリカナノ粒子からのCuイオンの放出が確認された。1~10 μg/mLの銅担持メソポーラスシリカナノ粒子は、NIH3T3細胞にに対して細胞毒性効果をほとんど示さなかった。10 μg/mLの銅担持メソポーラスシリカナノ粒子はin vitroで溶血がほとんどないことが判明した。がん細胞(MOC2)移植モデルで抗腫瘍効果を評価した。その結果、ポリエチレングリコール-銅担持メソポーラスシリカナノ粒子を単独で投与したマウスと、禁酒薬ジスルフィラムを単独で投与したマウスは急速な腫瘍増殖を示し、25日目の腫瘍体積は1800mm3を超え、重量は1.1gを超えた。断酒薬ジスルフィラムの経口投与とポリエチレングリコール-銅担持メソポーラスシリカナノ粒子の静脈投与を組み合わせにより、腫瘍の増殖が大幅に遅くなり、25日目の腫瘍体積は1000 mm3未満、重量は0.7 g未満だった。このように、断酒薬ジスルフィラムの経口投与とポリエチレングリコール-銅担持メソポーラスシリカナノ粒子の静脈投与を組み合わせは、腫瘍細胞の増殖抑制効果と、腫瘍サイズの制御による延命効果を確認した。病理組織学的検査により、正常組織に対する影響は確認されなかった。また、断酒薬ジスルフィラムの経口投与と銅担持メソポーラスシリカナノ粒子の腫瘍内投与を組み合わせ、腫瘍サイズの制御による延命効果も確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
断酒薬ジスルフィラムの経口投与と銅担持メソポーラスシリカナノ粒子の静脈投与(或は腫瘍内投与)を組み合わせ、MOC2移植モデルで、一定程度の腫瘍細胞の増殖抑制効果を確認し、腫瘍サイズの制御による延命効果を確認した。また、R5年度に予定されていた体内安全性評価として、今年度、病理組織学的検査などを前倒しで実施できた。以上より、本研究が(2)おおむね順調に進展していると自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
断酒薬ジスルフィラムの経口投与と銅担持メソポーラスシリカナノ粒子の静脈投与(或は腫瘍内投与)という組み合わせは非常に複雑なため(投与量、タイミングなど)、腫瘍微小環境内で合成された抗がん剤(銅イオンと断酒薬ジスルフィラム代謝産物のキレート化合物)の量が不足していると推定された。そのため、R5年度では、断酒薬ジスルフィラムと銅担持メソポーラスシリカナノ粒子を同じナノ粒子に担持し、抗腫瘍効果を評価する予定である。また、現在使用している遺伝子組み換えがん細胞(MOC2)は正常がん細胞と大きく異なるため、R5年度ではルイス肺がん(LLC)細胞モデルなどを利用する予定である。
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Causes of Carryover |
当初購入を予定していた試薬などの一部を研究室の在庫で賄うことができ、物品費が少額で済んだため。また、当初参加を計画していた学会が延期あるいはオンライン開催となり、旅費が不要となったため。使用計画:理化学用品、試薬、動物実験用マウスなどの物品費、成果発表・情報収集のための学会旅費などとして使用する予定である。
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Research Products
(1 results)