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2021 Fiscal Year Research-status Report

新ウィーン楽派の後期十二音作品における作曲的思考法の変遷

Research Project

Project/Area Number 21K19945
Research InstitutionOchanomizu University

Principal Investigator

浅井 佑太  お茶の水女子大学, 基幹研究院, 助教 (80908369)

Project Period (FY) 2021-08-30 – 2023-03-31
Keywords音楽文献学
Outline of Annual Research Achievements

本年度はコロナ禍のため、計画していた海外(ウィーン・バーゼル)での資料調査は諦めざるを得なかった。しかしながら、これまで収集してきたスケッチ資料や一次文献のコピーを精査し直すことによって、研究の主要な目的である新ウィーン楽派のそれぞれの作曲家の創作プロセスにせまることができたと考える。また、シェーンベルクらと縁の深い作曲家であったバルトークのスケッチ資料との比較を通すことによって、また新しい角度から20世紀新音楽の創作プロセスを見直すことが可能となった。
具体的な研究成果を以下に記す。まずアントン・ウェーベルンの1914年から1926年の創作プロセスを主題とし、彼がいかにして十二音技法を自らの音楽言語として消化するに至ったかについての研究書である『Anton Webern. Komponieren als Problemstellung.アントン・ウェーベルン:問題設定としての作曲行為』をシリーズ「Beihefte zum Archiv fuer Musikwissenschaft」の第85巻として刊行することができた。また、バルトークの創作プロセスとの比較についても、他の専門家の意見を参考に取り入れながら検討を進め、その研究の一部は『第72回音楽学会全国大会』にて、他の5名の研究者とともにパネルの中で発表を行った。具体的には、ウェーベルンとバルトークの一見異なる創作プロセスの比較をもとにして、20世紀新音楽に特有の創作プロセスの問題を指摘した。この口頭発表は、2022年に刊行予定の『お茶の水音楽論集24号』に掲載されることが決まっている(査読あり)。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

コロナ禍のために、海外での調査を諦める必要があったことは事実である。その一方で、すでに収集した資料を精査したり、出版された資料を再検討したりすることによって、こうした調査の障害は実質的に埋め合わせることができたと考える。このことは、こうした事態に以前から備えていた研究状況の強みがいかされた部分でもあった。
加えて、大規模な海外での調査を控えたことにより、逆に著書や論文を執筆する時間を多くとれるという予期せぬプラスの効果もあった。こうしたこともあり、本年度は研究年度1年目ながら、出版物の成果や口頭発表は多く行うことができ、むしろ研究進度そのものは予定よりも順調であったほどである。とはいえ、やはり予定していた調査ができていないことを考えると、「(1)当初の予定以上に進展している」と考えるのは少し誇張がすぎるだろう。

Strategy for Future Research Activity

2022年に予定していた海外での調査が実施できるかは不透明なところが多い。アーカイブ側の問題もあり、この点は必ずしも楽観視してよいものではないだろう。加えて、満足な状況での調査が可能でない場合(例えば、現地滞在時間が著しく限られるなど)、どの程度、研究を進める上で調査が必要なのかは熟慮しなければならない。
その一方で、これまで収集してきた資料や新たに出版された資料をもとに、計画していた研究をさらに進めることは十分可能であると考える。それゆえ、2021年に引き続き、本年度は継続して、所有しているシェーンベルク、ウェーベルンのスケッチに重点的にあたり、それらをもとに、この2人の作曲家がどのような思考を通して、創作を行っていたのかについての検討を進めるつもりである。とりわけ、どの程度、彼らが音符を記す際に、その音が鮮明に脳裏に浮かんでいたのかという問題について考えたい。最低でも一本は論文として仕上げることを計画している。

Causes of Carryover

予定していた調査ができなかったため、その資金を物品および図書購入費用にあてたが、それでもなお余ったためである。2022年度に行う予定の調査、ないし一次資料の複写や高価な図書の購入といった費用にあてることを計画している。

  • Research Products

    (3 results)

All 2022 2021

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (1 results) Book (1 results)

  • [Journal Article] 20世紀「新音楽」における作曲コンセプトと創作プロセスの関係 ――バルトーク《ミクロコスモス》第141番〈イメージと反映〉とウェーベルン《弦楽四重奏》作品28の比較を通して2022

    • Author(s)
      浅井佑太
    • Journal Title

      お茶の水音楽論集

      Volume: 24 Pages: -

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 批判校訂全集からみるバルトーク研究の現在 ── 『ミクロコスモス』合評を中心に2021

    • Author(s)
      浅井佑太
    • Organizer
      第72回音楽学会全国大会
  • [Book] Anton Webern: Komponieren als Problemstellung. Quellenstudien zu seinem Schaffen 1914-1926 (= Beihefte zum Archiv fuer Musikwissenschaft 85)2021

    • Author(s)
      Yuta Asai
    • Total Pages
      199
    • Publisher
      Franz Steiner
    • ISBN
      9783515130479

URL: 

Published: 2022-12-28  

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