2022 Fiscal Year Research-status Report
近代中国に描かれた油彩画の悉皆調査―作品データベースの作成
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21K19950
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
武 梦茹 九州大学, 人文科学研究院, 学術研究員 (80908153)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2024-03-31
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Keywords | 中国近代洋画史 / 美術作品データベース |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、中華民国期の中国(1911~1949)で中国人画家が伝統的な中国画を刷新するために西洋から受容した油彩画の悉皆調査を行い、作品の図版と基礎情報を記載したデータベースをつくることが目的である。この研究目的を達成する方法は、①現存する油彩画の発掘・調査と②近代中国の出版物に掲載された油彩画の図版の網羅的な収集である。上記の目的を達成するために、2022年度は下記の事項に取り組んだ。
・前年度に引き続き、一次資料(『美術』など美術学校の機関紙や新聞、展覧会目録)と二次資料(中国国外で開催された展覧会図録など)を幅広く調査し、中華民国期に制作された油彩画の図版を収集した。集めた絵画作品に基礎情報(作者・作品名・技法・サイズ・制作年・出典・出品展覧会・所蔵先・来歴)を付与し、エクセルファイルにまとめた。整理した作品の総数は1039点。 ・作品図版を公開するためのデータベースの構築方法、作品の収集基準、タグ付け、中国近代洋画史の枠組みなどについて検討した。美術史分野におけるデータベースの事例(メトロポリタン美術館オープンアクセス、顔貌コレクション、近現代中国芸術線上文献庫)を調査した。九州大学図書館リポジトリ係から、データベースを公開するための方策、予算、運営方法に関する情報を得た。 ・年度末に、研究成果を研究会で発表し、西洋や東洋、近代美術史研究者などと意見を交換し、専門的知見を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
収集した絵画作品をどのようにデータベース化するのか、その際の制度上の問題や予算、理念などについて幅広い専門家と議論をすることができ、データベース構築に向けて順調に進んでいる。 一方で、新型コロナウィルスによる感染症拡大の影響により、油彩画の図版を収集するために海外で調査を行うことができなかったため、次年度の課題とする。
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Strategy for Future Research Activity |
国内の大学図書館でアクセスできる中国民国期の出版物データベースを網羅的に調査し、油彩画の図版を収集する。上海の美術館で調査を行い、作品の図版を収集する。収集した作品の図版と作品の基礎情報をエクセルファイルにまとめる。
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Causes of Carryover |
2022年度は、新型コロナウィルス感染症拡大の影響により、国外への調査に伴う旅費が使用できなかった。そのため、予定していた旅費が使用できず、物品費とその他の費用(資料借用代)のみの使用となった。次年度は、感染症拡大の状況を鑑みながら、国外で調査を行う際に旅費を使用するほか、史資料を収集する際に物品費およびその他の予算から適切に使用していく予定である。
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