2021 Fiscal Year Research-status Report
日本語母音 /uR/ の緊張性に関する定量的な考察
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21K19976
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石崎 達也 東北大学, 文学研究科, 専門研究員 (30908322)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 母音 / 日本語 / 英語 / 音声学 / 外国語教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、音声学において未だ明らかになっていない母音のフォルマント移動と緊張性を扱うものである。母音の緊張性に関する定量的尺度による定義は、いかなる言語においても存在していなかった。一方、母音のフォルマント移動については、英語を含む様々な言語では研究が活発に行われているが、日本語母音についてはほとんど研究されていなかった。 本研究の目的は、研究代表者が確立した母音の持続時間内における緊張性の間接的な可視化の手法(第1フォルマント移動を用いた数理モデルの使用)により、日本語母音/uR/が示す緊張性の定量化を行い、その挙動を明らかにすることである。研究代表者は既に日本語母音/iR/が示す緊張性の定量化を行い、そのピッチ変動量に依存する顕著な特性をこれまでに明らかにしている。日本語母音/iR/と本研究対象の/uR/は、調音音声学において同じカテゴリーである狭母音と位置付けられるものである。したがって、両者の特性を対照することにより日本語の狭母音の緊張性についての包括的な結論を導き出すことができる。 国立情報学研究所の音声資源コンソーシアムが提供する音声コーパス「東北大-松下単語音声データベース(TMW)」から、日本語母音/uR/(ピッチ変動がHL, LH)の解析用データの準備(母音のデータ抽出作業)を完了している。これらのデータの第1フォルマント移動とピッチ変動量の解析を行なっているところである。 現時点で、日本語母音/uR/において第1フォルマント移動が存在することを観測できている。日本語母音/uR/に関しては、第1フォルマント移動に関する研究はこれまでに管見の限り行われていない。そのため、当該母音における本特性の観測結果は、音声学において新たな知見となり得ると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本語母音 /uR/の緊張性の定量解析を行う上で、国立情報学研究所の音声資源コンソーシアムが提供する音声コーパス「東北大-松下単語音声データベース(TMW)」などのコーパスを用いた解析用のデータ準備の進捗はおおむね順調である。また、データ解析の進捗も、おおむね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度に行なった、国立情報学研究所の音声資源コンソーシアムが提供する音声コーパス「東北大-松下単語音声データベース(TMW)」などのコーパスのデータを使用した、日本語母音 /uR/の緊張性の定量解析をもとに、2022年度では、日本語話者向けの英語の緊張・弛緩母音の発音方法案を検討していく。 母音の緊張性を利用した教育分野への貢献が可能であるかについて明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
コロナ禍による移動自粛、移動制限のため、今年度の旅費の使用がなかった。また、購入する専門書の選定を慎重に行っているため、今年度の物品費の使用がなかった。
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